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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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或る詩人への手紙

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「あ」
湯西川温泉のあたりは平家の落人が住み着いたと言われている。
そのため端午の節句でもこいのぼりは飾らないと言うことだ。
面白い事に、その地方の一部の者は合図の様な言葉で会話をする。
他人には目立たないように注意していたとのことだ。

たとえば「あ」と言えば明日である。
「つ」は豚の交尾を言う。
ある地方ではかさぶたの方言らしい。
かさぶたも剥がせば新しい生命が生まれている。
豚の交尾も同じように新しい命の誕生のためである。

あ・つ・た
と言えば
明日豚の交尾をする頼みます。
となる。
「た」の発音と同時に頭を下げる。
手話のようなものである。
相手が「わ」と言えば承知したと言うことになる。
「わ」の発音の時には親指と人差し指を丸めて輪を作る。

この話は夢のなかの話なので真実のほどは定かではない。
作品名:或る詩人への手紙 作家名:吉葉ひろし