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【どうぶつの森】さくら珈琲

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32.真実


「ずいぶん久しぶりだなぁ、さくらちゃん。オメェさん、ちったぁ大人っぽくなっただか?」
―――運転手さん、いいからタクシー出して。
「わりぃ。ジョークだべ。」

 役場から電話をかけ、タクシーを呼んだ。このカッパの運転手さんには、わたしがこの村に来たときからお世話になっている。電車もバスもないこの村唯一の移動手段だ。
 いつも陽気に目的地に連れていってくれる運転手さんだけれど、今回ばかりは少し不安げな表情を見せた。

「しかしよぉ、さくらちゃん。ほんとにサイハテ村でいいのか?」
―――うん。そのために呼んだんだもん。もしかして年末のラッシュがめんどくさい?
「はは、まあそれもあるけどよぉ……あの村は、お嬢ちゃんに良い影響を与えないと思うなぁ」

 運転手さんの優しさが嬉しかった。でも、わたしだって譲れない。

―――確かめたいことがあるんだ。
「……良い目だ、さくらちゃん。おらぁ吸い込まれちまいそうだよ」

 そして運転手さんは船乗り時代に十八番だった歌を歌った。わたしはそれを聴きながら、自分が何をしようとしているのか見つめ直そうとした。
 そう、わたしはサイハテ村へ行く。彼の、故郷へ。
 タクシーはどんどん村を離れていく。自分で決めたことなのに、なんだか遠くなるほどに心細くなってきた。
 でも、わたしにだって何か出来るはずなんだ。