乱れる歯車 弐
俺らが会わなければ、だれも死ななかったのに...
だれも狂わなかったのに...
そしたら、蓮だって今頃は...
2年前…
あの日は…そう…良く晴れた満天の星空が輝いていた…
その日、俺と拓摩が部室のカギ当番だった。
俺達陸上部は、インターハイに出場するような選手が何人もいるという、
有名な部活だった。
そのせいか、皆夜遅くまで練習するという事が普通になっていた。
その日も最後の1人、部長であり俺の親友…の蓮が帰る頃には、八時を回っていた。
蓮は誰よりも、努力を惜しまない奴だった。
いつか、俺も蓮のようになりたかった…
俺の憧れでもあり…俺の初恋の人…
もっとこの気持ちに正直になればよかった思うのはもっと先の事…
「それじゃあ、二人とも鍵よろしくな。」
蓮は手を振りながら、部室を出て行った。
部室の点検を終え、そろそろ帰ろうかと、拓摩に問いかけようとした時、
「空先輩…あんた、蓮先輩のこと好き好きなんですか?」
突然の拓摩の発言に俺は、どう対処すればいいのか分からなかった。
なんて言えばいいのか分からず、俺はうつ向いて黙ってしまった。
「黙るってことは、好きなんですね。」
と、拓摩は冷たい視線を向けてきた。
俺は、軽蔑されても仕方ないと思った、しかし拓摩の口から発せられた言葉は、
俺の予想していた、言葉では無かった。
「蓮先輩をあなたの物にして上げましょうか?」
「えっ…」
俺は、最初拓摩が何を言っているのか分からなかった。
「取引しません?」
「とっ…取引?」
「そう取引です。」
と、言いながら古いパイプ椅子に座った。
「内容はシンプルなもんです。蓮先輩が空先輩の物になったら、
俺の願いを1つ叶えるっていう物です。」
琢磨はパイプ椅子から立ち上がりお俺の前まで来て
「どうですか?」
と聞いてきた、
「本当に、俺の物になるのか?」
「ええ、100%の確率で。」
と拓摩は薄らと笑みを浮かべながら囁いた…
そうこの時から何もかもが始まった…