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10.生まれる前(11/15)　：ギリヴ

「キミが生まれるよりずっと前にね。世界は一度終わったんだよ」
　急に、そんな話をされた。
「知ってる」
　眼前に広がる荒野を、見るともなしに眺めながらそうつぶやく。
「そんなの、俺達にとっては常識もいいところだ」
　かつて何かが建っていて、かつては賑わっていたに違いない、と思わせるだけの残骸が転がっているこの荒野は、そのせいで余計に殺風景に見える。
「ここには高い高い塔が建っていてね…世界に光を散らしていたりもしたんだ」
「…あんたがそういうことを言うのは珍しいな」
「…なに言ってんの？　あたしはいつだって真面目じゃん☆」
「嘘つけ」
　おどけながら荒野を見るその目には、俺とは何か違う風景が見えているようで。
　珍しく、この人がまともな人間のように見えた。