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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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ジャガー

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いまから15年ほど前の話であるが、私はジャガーと言う車に乗っていた。
排気量は4500CC。車体の色は青空の様なブルー。ハンドルは左であった。
初めての左ハンドルの運転で、なかなか上手く感覚がとれない。
右折は信号待ちの車にあたりそうになった事がしばしばであった。しかし見栄がありノロノロ運転は出来なかった.
カッコいい車にはカッコいい運転が必要だと思っていたのだ。
若いせいかもしれない。
室内のシートは革張り、フロントパネルは板張り調であった。ガソリンタンクは2つあり、いかにも燃費の悪さを物語っていた。
リッター5キロがいいところである。
ボンネットの上のエンブレムがいいのだ。ジャガーである。
今時こんなものがボンネットについてはいない。
また、ホイルキャプもジャガーの文様みたいに、丸く穴が開いていた。
新車ではなく中古で購入したのだが、国産車の高級クラスの金額であった。
恰好はいいが、何しろ故障が多い。
国産車はほとんどトラブルはないが、外車にトラブルはつきものらしい。
デイーラーによれば車は修理しながら作り上げていくそうだ。

5月の連休にデズニーランドに子供たちと行った時であった。
浦安のあたりから渋滞になり、全然動かない、その日は暖かいと言うより暑かった。
エアコンを入れることにした。
迂闊であった。走っていないでエアコンを入れたために1時間ほどでオーバーヒートである。
幸いまったくと言っていい位動かないのでエンジンが冷めるのを待つ事が出来た。
子供たちにはさんざん文句を言われた。
午前10時からそこで待ち、入場できたのは午後の3時頃であった。
2000円ほどの入場券を、ダフ屋が4000円でどうかと声をかけて来た。券を購入するにも1時間以上はかかるとダフ屋は言った。
5枚買うから15000円に負けろと言うと、
「こんないい車でそれはないでしょう」
と言い2000円負けると言った.
何しろ全員がトイレに行きたいのだ。トイレも30分は待つようだ。
夜の部にさえ入れなくなりそうでダフ屋の券を買うことにした。

見学を終えて満足して帰ろうとすると、エンジンがかからない。もう10時である。
JAFが来るまでには時間がかかる。
私は手当たり次第に声をかけたが、誰もが早く帰りたいのだろう、手を横に振った。
栃木のナンバーを見つけ
「バッテリーがあがってしまったようなんですがブースターケーブルお持ちですか」
「あるよ」
「つないで頂けないでしょうか」
「いいよ」
と言ってくれた。
「こんなにでかいアメしゃか」
と言いながらもワゴン車を脇に着けてくれた。
「俺のバッテリー食われちまうな」
私は車に乗りキーを回した。エンジンがかかった。
「エンジンは切らん方がいいよ」
「ありがとうございました」
私は3000円渡したが彼は受け取らなかった。

「外車なんか買うからよ」
またさんざん子供たちから文句を言われた。
それ以来国産車に乗っている。


作品名:ジャガー 作家名:吉葉ひろし