さくら
その夜次郎は夢を見たのです。
「今日は助けて頂いてありがとう。私は沢山の子を作ります。その子をこの土手に植えてください。10本になって花が咲いたら、団子を作って売りなさい。きっと幸せになります」
余りに美しい女の人なので、次郎はその夢を忘れませんでした。
1年2年・・・10年経って10本の桜に花が咲きました。
団子を売りだすと、桜を見に来た人が買ってくれました。
次郎は桜を増やし続け、100本にしたのです。
三笠の千本桜は名所になり、次郎の桜団子も有名になりました。
私の家の神棚には祖父の描いた女の絵が飾られております。
絵は上手く無いのにとても美しいのです。
私は毎日その絵に感謝しています。