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藤枝 真緒
藤枝 真緒
novelistID. 32347
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ちょっと弟が好きなだけ!~靖斗~

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両親が旅行中なので、家には姉弟二人きり、
別に大したことないはずなのになぜだかワクワクする。

弟の靖斗(やすと)は甘い物が大好き。
特に餡子が大好物だ。
年の離れた弟ってのはどうしてこうも可愛いんだろか?
きっと妹でも可愛かったに違いない!
つい甘やかしてしまう;w

靖斗は学校だけど、私は仕事がオフなので
久しぶりに甘い物でも作っておこう。

私の調理は全て感覚だ…
プロ級の味を求めているわけではないし、
分量きっちり合わせても失敗する天才もいる。
味見はちょいちょいするから問題ない☆

今回のコンセプトは『和風ケーキ』
①抹茶のスポンジ
②生クリーム
③餡子
これらを①②③②①の順に重ねる。

まずは、ホットケーキミックスと
粉の抹茶と牛乳と卵をボウルに入れてよく混ぜる。
色よりも抹茶の香り優先!
気の済むまで混ぜたら
炊飯器に移し変えてスイッチオン☆
文明とは素晴らしいなw

次は餡子。
一から作るのは時間がかかるので
市販の物(加糖済み)で代用;w
靖斗のために私は常備してる☆

最後は生クリーム…
今回の場合は固さは重要じゃないけど
とりあえずいつも通り温度を一定に保ちながら
少量の砂糖と混ぜる。
生クリームは薄めにしか塗る予定がないので
余った分は抹茶の粉と混ぜて適当な器に移し冷凍庫へ。
凍らせてアイスにしてしまおう。


ピーピー

炊飯器にお任せしてたスポンジが出来上がった。
余熱を十分冷ましてスポンジを切る。
重ねるだけの単純作業を終えたら
外側全て生クリームでコーティングする。
ただの白い円柱になったケーキのど真ん中に
湯煎しておいたチョコペンで「おかえり」と
一言だけ書いて冷蔵庫に安置した。

作り終えた感想…
どら焼きにすればもっと楽だったに違いない。
まぁ、いいか。

後は靖斗の帰りを待つだけ~
私は、リビングのソファーに横になって
遅い昼寝をすることにした。


・・・


ガチャ

玄関の鍵の開く音が微かにして目を覚ます。
寝転んだままの私を見て靖斗は「ただいま」と言った。

「お帰り、靖人。早速だけど、私にする?
 それとも私にする?ってゆ~か私にする?」

「それ、おかしいよ;
 だって姉ちゃん一択しかないよ。
 ご飯とかお風呂とかどこいったの?」

「ご飯とお風呂は姉ちゃんが追い出しておいたb」
「うわぁ~…」

「靖人はこんな早い時間から夕飯食べるのか?」
「あ~、小腹すいてる程度だからまだ食べないけ
「じゃぁ、こんな早い時間から風呂に入るのか?」
「別に後でも先でもいいかなって…
「なら、風呂もメシもまだ必要ないじゃないか。
 なぜ求めた?その辺詳しく説明してみろ。」
「なにこの人メンドクサイ」

「まぁ、いい。私のボケに対し、
 面白いツッコミが返せなかったおまえには
 代価を与える必要は無し。部屋に戻るがよい。」
「もぉ普通に話してよ;」
「私は私の普通だ。問題ない。」
「むしろ問題しかないよ。」

「やれやれ、世話の焼ける弟だ。
 冷蔵庫の中を確認することを許可する。
 下段にある物体をココへ持ってまいれ。」

付き合い疲れた顔の靖斗は
冷蔵庫の扉を開けたとたん口角が上がりだす。
頼みもしないのにフォークを2本、
ケーキと一緒に持ってきた。

「ほぉ~。
 取り皿もケーキナイフもないということは…
 おぬしも、悪よのぅ~w」
「お代官様程ではありませぬ~w」

「ではでは毒見の一口目を…」

と言いながらフォークに一口分刺したケーキを
靖人の口元に持っていく。
つまり、『あ~んして』ってやつ☆
月に一度くらいはこのイベントが必要と思う!

「姉ちゃん!大変だ!!
 お抹茶の、お抹茶の味がする!!」
「靖斗はこの前姉ちゃんが買ってきた
 お抹茶のアイス、ずっと『美味い』連呼だったから
 ちょっと仕込んでおいたb」
「あざーす!」

どうやら気に入ってくれたようで
靖斗はケーキをガツガツ食べだした。
…見事な食いっぷりだ;w

こんなに甘い物ばかり食べているのに
なぜこの子は太らないんだろか…
羨ましい通り越して体質が憎い。
私は靖人の脇腹を高速ツンツンする。

「くすぐったいwやめ~w」

嗚呼、今日も平和だ☆