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ワンシーン

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暗い部屋でテレビを見ていると、バスルームから出て来たあなたは私を見て、ちょっと笑いながら
「暗い所でテレビ見てると目が悪くなるよ」
と、まるで子供に言うような事を言った。
「うーん?」
適当に返事をすると、軽い溜め息をつきながら横に座った。
しばらくそうやって、ふたりで無言のまま並んでいた。
「ねぇ」
と声をかけられて、あなたの顔を見ようとした途端、そのままソファに押し倒された。体がねじれる。
「何?!」
あなたは何も言わない。
「冗談ならやめてよ」
「冗談じゃない」
私の肩を掴む手に力が入った。
もうあなたは笑っていなかった。まっすぐな瞳が私を射る。
「肩痛いよ、急に何な…」
あなたの唇が、私の言葉の続きを奪った。
…いつまでそうされていたかわからない。多分数秒だったのかもしれない。けれど、とてつもなく長く感じた。お互いの鼓動が混ざりそうだった。
そっと離れた唇が
「ごめん」
と呟いた。
まるで大雨にあったように私の全身を濡らすほど、湿った声だった。
私の上で俯いたあなたの前髪が、私の唇をかすめていく。
「…ごめんじゃないわ」
言葉は強いが、声が震えているのが自分でもわかった。余程弱々しかったのか、あなたは驚いたように私を見た。
「……」
「謝るって事は、悪い事をしたと思ってるの?」
「…わからない…ただ…」
そのまま無言になったあなたの腕に押さえつけられた肩の下で、わずかばかり自由になる腕を、私はあなたの背中に伸ばした。
作品名:ワンシーン 作家名:すのう