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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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芸者芳乃

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 いまになって初めて母さんに知らされました。
あなた様に会った翌日家に返されました。どうしてなのか解らないまま今日まで来ました。
何とお礼をしたら良いものかと思っております。
 看護婦として働いています。結婚もして二児の母です。この幸せはいまさらですが、感謝感謝の気持ちでいっぱいです。
 出来ればお助けいただいたお金をお返ししたいと思いますがお会いできる日をお知らせください。


 すでに忘れかけていた事であった。
 私は彼女の体に触れられなかったことを幸せに感じていた。
 私が芳乃に与えた10倍くらいは、この手紙のなかに有る様に思えた。
 いまになり思い出すとあの金は彼女の指に飾った指輪のように思えた。
 見えないけれどいつまでも芳乃の指に有る様に思えた。
 会う約束はしないと手紙に書いた。そしてお金のことは記憶にないとも書いたのであった。

作品名:芸者芳乃 作家名:吉葉ひろし