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トイレの時間

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皆さんは毎日トイレに行きますよね? そこで用を足しますよね? その時、自分の小のほうの時間がどのぐらいなのか疑問に思ったことはありませんか?
 私はあります。でもタイマーで計るのはナンなので、これについてインターネットで調べてみました。
 すると、ありましたありました。自分の小の時間を正確に測る人たちの集まりが。その名も『ロングウォーター選手権』。その説明と動画が載っていました。
 これはアメリカのとある地方で毎年開かれている「どれだけ長く用を足すことが出来るか」を競う排泄大会です。
 大会はビールをたくさん飲む真夏の七月に行われます。この季節になるとアメリカ中からおバカな奴らが集まってきて、その人数は毎年二百人から三百人ほどになります。参加できるのは男性だけで年齢は問いません。オカマもOKです。
 大会は元々ある野外ステージの上に小を足すほうのトイレが五つ設置され、五人ずつタイムを計っていきます。そして、そのタイムが一番長かった人がチャンピョンの栄冠を手にすることができるのです。
 トイレはステージの向こう側に向かって設けられ、観客は出場者のおしりを眺めることになります。各トイレの横にはストップウォッチを持った男性が配置され、一人一人の小の長さを計ります。
 また、それぞれのトイレの上には電光掲示板があり、ストップウォッチを止めた時点でそれがそこに表示されます。その度に観客からは「ショート!」とか「ロング!」とかいう歓声が上がります。客席は片手にビールを持った人たちでいっぱいです。ビールを飲みながら応援するというのが、この大会の恒例なのです。
 名前を呼ばれると、選手たちはステージのトイレにスタンバイし、「用意!」の声で「構え」に入ります。「構え」とはズボンとパンツを下ろすことです。そしてこの大会に欠かせないビールをがぶ飲みした彼らはピストルの合図と共に頑張って競い合うのです。
猛暑だった今年の夏は、例年以上の盛り上がりを見せました。
 まず、大会常連で『ゴールド5(ファイブ)』と呼ばれている優勝候補の一人、ジョージ・エリントンがなんと十人終えた時点で脱落してしまったのです。観客はまさかの思いで悲鳴を上げる人さえいました。なぜかというと、このジョージはかなりのハンサムで女性ファンも多かったからです。ジョージのおしりがキュートだと言う女性は溜息を漏らしました。しかし、たとえ悔しい思いをしてもジョージは今日もストリップ劇場でその裸体を披露することでしょう。
 この時点でトップに立っているのは、初出場の中年ボボ・マクラン。彼のタイムは三十八秒です。まだまだタイムは伸びそうです。
 そんな中、やはりボボのタイムを破ってトップに躍り出たのは、ゴールド5のキール・マッカーシーでした。並んだ五人の中で郡を抜いて長く、三分十六秒を記録しました。ガリガリに痩せた二十歳の青年キールは幼い頃からいじめられっ子だったのですが、この大会で一度優勝してからというもの人気者に大変身したそうです。キールは照れて頭を掻きました。大会を取り上げた新聞はこれを一種のアメリカンドリームだと書きました。
 真夏の盛り上がりは徐々に大きくなっていきました。そこに登場したのが今回の注目の子供、アダムス三兄弟です。この三人はまだ三歳ですが、テレビでこれを見ているうちに自分たちも出たくなり、両親も記念にと参加申し込みをしたそうです。
 五つ並んだトイレには端にいかつい男二人、真ん中三つに子供たちが並びました。「用意!」と声が上がった瞬間、子供たちは一生懸命ズボンとパンツを下ろします。その光景に観客からはほのぼのとした笑い声が起こりました。タイムはそれぞれ、五秒、六秒、七秒でしたが、終わった後でピストルを鳴らした男に「オレンジジュース、おいしかった~」と言ったそうです。
 いよいよ、大会は終盤に近づいてきました。
 ゴールド5の残り三人、マイケル・ハルマンとカナート・ヴァンデルセンとヘンリー・コーミングはなんと同タイムだったのです! 三分九秒で惜しくもキールには届きませんでしたが、客席からは「ベーリグッジョブ!」という声と拍手が送られました。
 そして最後の五人の登場です。ラストに登場したのは美しい女性、もとい、ハーフレディーたちでした。彼ら、もとい、彼女らは同じバーのスタッフで店の宣伝も兼ねての出場でした。
 彼女らは出てくるなり、怪しいダンスを披露しました。会場のボルテージはこの日、最高潮に達しました。そして。
「用意!」
 いっせいに五人が、ひらひらとしたスカートを脱ぎます。五人とも、脱いだスカートを丁寧にたたみました。ピストルの男も会場も脱力して笑いました。
「パアン!」
 その合図と共に、客席からはカメラのフラッシュがたかれました。内股で戦う女たちは全員野太い声で「オ~」とか「ア~ウ」とかいう変な声を出して場を盛り上げました。
 今回の大会、優勝したのはキール・マッカーシーの三分十六秒でした。キールには、金のトロフィーとビール一年分が贈られました。今年の大会は大成功に終わり、キールは大会後のデートで彼女へのプロポーズを成功させたらしい、というところでインターネットの説明は締めくくられていました。
 さて、ここで皆さんにはふとした疑問があると思います。
「どうしてこんな大会があるの?」という疑問です。この変な大会が開かれるのにはちゃんとした理由があります。この『ロングウォーター選手権』は、アメリカのビール会社の宣伝大会なんですね。
 会場では出場者と観客に、その会社のビールが無料で配られます。それでこんなに盛り上がるんですね。「アメリカ人は変わったことをするから、こんな大会があるんだろう」と思った人、ハズレでした~。
 ではでは皆さん、この辺で。
 ちなみにこの話は、バスの中で「トイレに行きたいな~」と思った私が全部考えた、嘘八百のフィクションです。え? ほんとのことだと思ったんですか? そんなバカな話があるわけないじゃないですか。
 え? 信じちゃいました? じゃあそういうことにしときましょう。本当であってほしいと願う皆さん、あなたもパソコンで調べてみてください。そしたら意外と事実だったりするかもしれませんよ。
作品名:トイレの時間 作家名:ひまわり