『歪んだ愛』
薔薇色の頬と唇、風にたなびく栗色の髪
笑った顔は僕の太陽、鈴の鳴るような声は僕の癒し
彼女のためなら富も名誉も全て投げ売っても構わない
家事が苦手でご飯は作れない
洗濯すればニットが縮んで使い物にならなくなってしまう
布団は万年床
そんな多少だらしないところもご愛敬
毎日彼女が出掛けるのを見送ってから、簡単に家事を済ませて出勤します
彼女、忙しいと家のことをおろそかにしがちなので僕がやらないと…
疲れて帰る暗闇の道、見上げると彼女の部屋の灯りが僕を呼んでる
それだけで心が温かくなって、疲れも吹き飛んでしまうのです
彼女が淋しい時や辛い時にはすぐさま電話をかけ
彼女のもとに駆けつけました
嬉しいことがあった時には祝福のキスを
照れ屋なので眠っている彼女にですけど…
仕事で昇進した時にはご褒美のプレゼントをそっと枕元に
起きた時のびっくりした顔、今でも忘れられません
僕は彼女を見守ってました、いつだって彼女と一緒にいました
一番彼女を愛している自信があります、それは紛れもない事実です
どうしてこんなことになったのか分からないけれど、信じてください
「…どうでしょうか」
弁護人は彼女に声をかけた
顔は蒼白、唇はすっかり生気を失い
手紙を持つ手はわなわなと震えている
「どうしたもこうしたもないわ…絶対に許せない
だって彼は面識もない
ストーカーですもの!!」