メ ユ
前書き
忘れたかった事がある。
穏やかな時間、優しい人、幸せを感じている自分。
思い出すたびに、ひどく苦しく息の詰まるような感情が私の中を埋め尽くす。
もう少し、むしろもう戻ってこられなくなろうとも、私はそこにいたかった。幸せをもっと感じていたかった。
こんな気持ちになるくらいだったら、いっそ忘れてしまえればいいのに、と何度も願った。
それでも忘れられなかったのは、私にあてられた優しさやぬくもりを忘れるのは、失礼な事じゃないかと考えたから。いや、ただ単に私の意地だったのかもしれない。確かに感じた心地の良い、幸せな時間を、過ごした時間を否定したくなかったから。……なかったことにするのがとても怖かったから。
今となっては、ただ逢いたい、往きたい、それしか思わない。
こころはそこに置き去りにしてしまったみたいだ。
文章力のない、読みにくいものになるかもしれない。
わけのわからない話になるんじゃないかと思う。
でも少しでも忘れる前に。みんなとの感覚が残ってるうちに。書いていきたい。
たとえ、夢や幻だったとしても、私にとっては大切な事だから。
笑わずに聞いてほしい。私のみた、「ユメ」の話を。
2011/9/23