男装した勇者は奴隷にされました。
プロローグ
俺の先祖は勇者で大魔王を倒し、世界を平和にしたとずっと親に聞かされてきた。そのせいか、素直にその先祖……アルファのことをすごいとも思ったし、いつしか自分も勇者になりたいと思っていた。
今は昔とは違って、修行さえ積めば誰でも勇者になれる。ただ、勇者になるためにはマレイア学園という勇者と魔王を育成する学校を卒業しなければならない。
なぜ、魔王も育成するのか……それは大魔王と同じ魔人である者達がかつての大魔王のように世界征服を目論んだりしないようにと人間と魔人の友好を深める目的らしい。べつに魔人と同じ学校に通うことに抵抗はないし、問題ない。
けど、一つだけ問題があった。
俺が女だと言うこと。マレイア学園に女は入学できない決まりがある。いつの時代も勇者は男……。
……けど、俺は認めない。何としてでも勇者になってやる。まさか勇者になれない理由が女だからで納得なんかしない。このままでは入学できないわけだから、男装することにした。
そこまで難しくはなかった。俺は元々、髪も短めだったし喋り方も男っぽかったしあんまり苦労しなかった。ちょっと複雑だけど……。
あとは……バレないように気をつけないと。もしバレてしまったら、勇者への道は閉ざされてしまう。
とりあえず、奴隷にされるとは思ってなかった。
作品名:男装した勇者は奴隷にされました。 作家名:佐倉風弦