邪魔してみる
本を取り上げるのが一番早い。
だって、彼が悪いのだもの!
恋人である私をかまってくれないから。
「…本を、返してくれませんか?」
困った顔して彼が言う。
もちろん返さないつもりはありませんよ?
だけどね、ちょっとイジワルさせてほしいの。
「ちゅ~してくれたら返してあげてもいいですよ?」
彼は石のように固まってしまった。
「『ちゅ~』とは、『キス』のことですか?」
「ズバリそうです。」
今度は真っ赤になってしまった。
なんてわかりやすい人なんだろ。
「…あ、え~と…あの…」
「無理しなくてもいいですよ?本、返しますし。はい。」
今日はこのくらいにしといてあげますよ。
これからはもっと私と同じ世界を見てくださいね?
「め、め、目を閉じてください!」
「へ?
ちょっ、ちょっとっ!?きゃぁ!」
ドサ………
「あ…」
「世間ではこの体勢を『押し倒す』と言います。
…責任、とってくださいね?」