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おじちゃんと子供たちのための不条理バイエル

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【付録3】かぐたんのマフマフ☆モリモリくりすます@フライング編



ことしもかぞえて残りン日、さいきんのアルアル超絶美少女の趣味はもっぱらエアくりすます会の式次第作りであった。
「……ねーねー、ぱっつんとこの町内こどもくすります会は何やるの?」
眼鏡少年のパチもん三本ラインの着物の袖を引いて、首を傾げた少女が訊ねた。
「えー?」
眼鏡少年は勿体付けて地味なフレームに手を添えた。
「……そーだなー、別にフツーだけどね、皆で公民館に集まって部屋とツリーの飾りつけして、ケーキ食べてジュース飲んで、そんでプレゼント交換したり出し物したり歌うたったり――」
「ホントにフツーあるな」
半眼の地蔵顔に少女が呟いた。
「えっ」
狼狽に眼鏡少年の眼鏡の蔓が傾いた。断っておくが少女に悪気はないのである。ただ一般の礼儀を欠くレベルで己の感情に正直なだけなのであった。
「……。」
――そっちが聞いてきたから答えたんじゃないか、眼鏡少年は当て付けのように少女に背を向け、白デカわんこのもふもふの腹毛に癒しを求めた。
「――、」
平和なお昼寝を邪魔されたわんこは、スピスピ鼻先に皺を寄せて若干迷惑そうである。
「じゃあさぁ、銀ちゃんトコは?」
まるで気に留めていない様子で、振り向き際に少女が訊ねた。
「は?」
社長椅子にふんぞり返っていた天パは眉を顰めた。少女は大げさに肩を竦めてみせた。
「銀ちゃんだってスレた大人になる前はいたいけな子供だったんでしょーがっ」
「……。」
何かいまいち引っかかるモンはあるけど、胸に溜まった息を吐いて天パは語り始めた。
「そーだな、ウチの塾はふだんみっちりスパルタだったから、そーゆーイベント関係は皆はっちゃけて振り切れてたな、」
――ゆーめーしんがく校ほど文化祭のおフザケが斜め上すぎるアレみたいなものですよっ、
「ウンまぁそれはこっちに置いといて」
おっさんが盛ってきた部分をあっさり流すと少女はメモを取り出した、
「具体的には?」
「……」
わんこの前脚を握り締めて背中越しではあるが、日頃あまり話題に上らない内容なので、眼鏡少年もわりと真剣に聞いているらしいのが気配で伝わる。
「――、」
天パは一つゴホンと咳払いした。
「……まぁ、何つっても目玉はクリスマス恒例バンバンチキチキ★チキンレースかな」
腕組み姿勢で天パが言った。
「チキン……?」
――じゅる、少女が涎を啜った、
「レース?」
眼鏡少年が振り向いた。
「おうよ、下り坂を台車に乗って己の精神と肉体の限界に挑戦するのよ」
天パは胸を張った、――チキり加減を見誤ってめでたく坂下の●溜めドボンした野郎にはメリーク●シマス! ク●ガキどもの一斉シ●ンペンシャワーが降り注ぐって寸法さァ!
「……。」
眼鏡少年がどんより表情を曇らせた。
「なんかいま、ものっすごい直球で品のない画面が浮かんだんですけど……」
「そーだヨ、くすりますだからってコドモはしゃんめるー☆しか飲んじゃいけないんだヨ、」
澄ました顔で少女は言った。
「……いまさらオマエに守んなきゃいけないキャラなんかあったか?」
嫌味ったらしく天パが返した。無論少女は動じない。
「他は? 他にも少し絵的に耐えられるヤツないの?」
おだんごヘアに挟んだペンを取り、メモを繰って少女が訊ねた。
「……」
天パはぼりぼりかったるそうに天パを掻いた。
「……そーだなー、プレゼント交換……つって自分のロンゲばっさりやってドヤ顔でおされうぃっぐこさえてきたアホが花見の時期まで、いんや海水浴シーズン……ありゃ芋掘り遠足過ぎまであたりだったかな、総スカン食ってドロケイメンツハブられてたし、出し物……そーそー、ウチの塾ひとりマジモンの真性ポエマー飼っててさぁ、――堕天使とか黒薔薇とか金星爆発しろ!とか獣の呻き?がどーのこーの?みたいな? ……センセも罪作りなことに基本ホメて伸ばすタイプだからすっかり真に受けて増長しちゃって、最終的には周囲ポカーンなのぶっちぎって演台に異空間出現させてたからね、あそこまで空気ガン無視でセルフトリップできちゃうのってある意味才能だよねー、」
「――よーするに」
ペンとメモを降ろして少女が言った、
「その塾は選り抜きのデムパよーせい機関だったわけアルな、」
「かぐらちゃんっ」
声を潜めた少年が少女のチャイナ上着の裾を引いた、
「そーねー、結果的にはねー……ってオイーーーーーっっっ!!!」
顎に手を当てて同意しかけていた天パが上滑りのノリツッコミをした、
「あのなぁ、俺はあの中じゃ比較的周囲に染まらずマトモに人格形成されたほーだぞっ」
自身の熱気で天パをくるんくるん湿気らせながら訴える天パに、
「……ぜんっぜんフォローになってませんよそれ」
眼鏡少年が苦笑いした。――やれやれ、アルアル少女はため息を漏らした。
「そーだっ、」
どうにか挽回したいらしい天パがぽんと手を打った、
「食いモンつったらアレあんぞ、えげれす式ジンジャークッキーにアイシングでデコレーションしてさー、ツリーに……」
「――ああ、」
合点がいったように少女が頷いた、
「ヒトガタのアレに急所マッピングしていくやつね」
――んで所属部隊別に色分けしたリボンで実績分吊るした数でらいねんの目標を競い合うんだよね!
「は?」
オマエの戦場のクリスマスどんだけサツバツしてんだよ、天パは冷や汗混じりに眉を引き攣らせた。
「えー? だってようねん士官学校のときにさァ……」
少女が口を尖らせた。
(……。)
傍で彼らの会話を聞いていると、――いいんだ、たとえ地味でもパッとしなくても、ビバ! フツーのクリスマス万歳!! 滂沱にまみれた心の拳を天に突き上げる眼鏡少年なのであった。


+++