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『GAME』

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「ねぇ英明、これってなぁに?」

彼女の手には女物のイヤリングが光っていた
ああ、しまった隠し忘れてた
昨日の夜念入りに掃除して、全部押し入れにしまったと思ってたのに
どうしよう、彼女相当怒ってるぞ
ここはなんとかなだめよう

「ちょっと待って、何か勘違いしてるんじゃないのか?」

「なによ!勘違いな訳ないわ、これは私以外の女のよ!浮気したんでしょ!」

ありゃりゃ、火に油だ
真っ赤になって暴れてるぞ
仕方ない、ここは誤魔化しとこう

「それは姉貴のだよ、馬鹿だなぁ俺を疑うなんて」

途端に彼女は悲しそうな顔になった

「あなたにはお兄さんしかいないって、私知ってるのよ…」

付き合いが長いとこういう時困るな、なんでもお見通しだ
やばい、泣きそうだぞ
女の涙には弱いんだ、勘弁してくれ

「すまない…」

長い長い沈黙
なんか言わなきゃだよな、うん
もう隠し通すのは無理そうだ、ちゃんと告白しよう

「浮気をしたのは本当だ」

彼女の目に炎が宿った、気がした
まずい、まずい、ここは間違えられないぞ
選択肢はふたつにひとつだ
慎重に、慎重に…

「寂しかったんだ…でも、本当に愛してるのはお前だけだ!」

途端に彼女が俺に殴りかかった
火花がパッと広がったかと思うと、中心から真っ赤な絵の具を広げたように目の前が赤く染まっていく

「この浮気者!お前なんて殺してやる!」

だんだん意識が遠のいて…










ああ、また失敗か…
英明は真っ暗な画面を見て溜め息をついた
このゲーム、何度やってもバッドエンドだ
バグってるんじゃないのか?難しすぎるだろ
もしかして答えなんてないんじゃないのか…
ああもう、辞めた辞めた!
コントローラーを投げ捨てて、英明は面倒くさそうに横になった

「英明…お取り込み中のところ悪いんだけど」

彼女の声がして僕は振り向いた

「ねぇ英明、これってなぁに?」

彼女の手に握られたものを見て
僕は悲鳴をあげた…

英明の人生史上最も難しいゲームは、まだ始まったばかり…
作品名:『GAME』 作家名:やぁこ