ONIGOKKO
プロローグ
ある日、母は交通事故により亡き者となった。
ある日、父は母の死に荒れ狂い…黙って俺を置いて行った。
祖父母がいれば良かったのにと、欲を見ていたが…気づけば祖父母も前からいなかった。
俺は完全に置いてかれた。
あんな明るかった俺だったのに、不良ぶって誰も授かってくれる人はいない。それは母の死の原因だと分かっているのに、誰も見向きしてくれなかった。そうして俺は何時も独りであった。それを見た親父も黙って他界だなんて…。
学校も行っている暇はない。ただただバイトをして、退屈な日々を過ごしているだけであった。そこで俺は遂に口にするのだ。
「生きてて何の意味がある?」
俺の両親は特別だった。その母と父がいなければ確実に生きていけないのだ。何故なら…その二人にはある特別なものを持っていたから。
〝一枚の紙〟に気づかぬまま俺は何処かへ消えていくのだった。
「…け、圭介」
無意識にテレビを点ければ真実が映し出される。
『昨夜、東京都新宿区の此方の建物の手前にて高校二年生〝鈴木圭介〟さんが遺体で発見されました。ええ、警察の方では自殺と見て捜査を続けています』
「…俺の手紙を見ていなかったのか」
全てを悟れば絶望が目の前を立ちこめた。肩に伸し掛かる重みは何だろうか…。
床に落ちていた手紙を広い、ギュッと握りしめた。クシャリと皺が入ると一滴の雫をキラリと輝かせながらも落ちて行った。
「…生きて帰ってこいよ」
〝死者復活秘話〟。こんな親父だけれど、馬鹿馬鹿しいと思う奴らはいくらでもいるけれど、私はそれらと彼を一緒に信じ抜く。
後日―――――――――。
「はぁ…はぁ…。急がないと」
会わなければならない大切な人が待っている。走り抜く俺は呼吸を整える。そして、走る先…希望の扉を開けた。
「親父…」
曖昧な真実だった〝死者復活秘話〟は彼によって全ての幕を閉ざした。共に、新たな道は次に開いたのである。