小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

『おひとりさま』

INDEX|1ページ/1ページ|

 
里美は服を無造作に脱ぎ捨ててベッドにダイブした
素肌にまとわりつく布団のひんやりとした感触が心地いい
玄関からベッドまでは、彼女が脱ぎながら歩いた服が軌跡を辿っている

ああ、今日も疲れたなぁ
上司には怒られるしお局様からは嫌味を言われるし
全く、年を取ると人間ってどうも説教くさくなっていけないわ

徐々に人肌に温まり
優しく包んでくれる布団で微睡みながら
里美はさらに思いを巡らせた

明日は休みだから、洗濯は起きたらすればいいわ
溜まってる食器も明日ね
掃除もお風呂も…
今はただ、嫌なことを忘れてひたすら眠ればいい
そして彼女は呟いた………




雄介はベランダで煙草を吸いながら
2本目のビールを開けた
ぷしゅ、と小さな音も煙草の煙も、静かな星空にゆっくりと吸い込まれていく

今日も忙しかった
西へ東へ走り回って、頭下げて
そんで取れた契約はたったひとつ
でもそのひとつをとるためにどんだけ頑張ったと思ってんだ、あの上司
怒られるなんて割に合わねぇ

一気にビールを飲み干す
冷たい感覚が一気に食道から全身を駆け巡る

明日は休みだ、ひたすら酔っぱらって寝ちまえばいい
どうせ暇なんだ、溜まってる企画書も、家事も後回しだ
ビールと煙草があればいい、嫌なことなんて全部忘れちまう
そして彼は呟いた…………


『おひとりさま、最高!!』


そんなふたりが出会うのはちょうど1年後の話………
作品名:『おひとりさま』 作家名:やぁこ