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人形の話

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人形の話
ここに精巧な人形があります。美しくはありません。かといって不細工でもありません。スタイルが良いわけではありません。悪いというわけでもありません。
 さて、あなたはどうやってこの人形が人形であると認識しますか?

 人形は動かない、と思った人もいるでしょう。この人形は動きます。たまに転んだりもします。転んだら血も出ます。
 
 解体してみればすぐわかる、と思った人もいるでしょう。この人形は中身まで精巧です。先ほど血が出る、といったように、全身に血管が通っています。筋肉も内臓もばっちりです。だって、人工臓器を使っているんですから。
 脳なんて作れない、なんて思いますか?実はできてしまうのです。機械の頭脳で、人間の頭脳よりも軽くて性能もいいのです。
 機械で脳ができてるなんて、もうそれは人間じゃない、なんて思ったりしましたか?なんとひどい意見なのでしょう。脳に障害がある方が、脳を機械化してしまうのが当たり前だったりする時代です。それでもあなたはその人が人間でないと言いますか?

 心がないから人間じゃない、と思った人もいるでしょう。今はロボットにだって感情があります。感情っていうのは脳の機能なので、それを機械で再現しているのです。
 そんなの心じゃないって?じゃあ逆に聞きますよ。心ってなんですか?僕にはわかりません。

 人形って生きてないじゃないか、と思った人もいるでしょう。これも疑問で返しましょう。生きてるってなんですか?心臓が動いていること?考えられること?生活していること?この三つの問題については、すべてこの人形はクリアしています。
さて、もう一度問います。生きてるってなんですか?

まぁ、グダグダと話し続けるのもどうなのかと思うので、そろそろ結論を言いましょう。人形というのは、その人が「人形である」と認識したものなのです。
僕は目の前にある「これ」を、人形だと思っています。だから、これは人形です。あなた達がいくら「これ」を人間だといっても、僕にとっては違います。僕にとって「これ」は人形でしかないのです。だから、簡単に壊せるのです。ほら、このように。
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 そんなことを言って、自分の持ち主を多くの人の前で殺したロボットが逮捕された。調べてみたところ、プログラムの一部にエラーがあった。彼には、彼の持ち主が人形に見えていたようだ。

作品名:人形の話 作家名:うろ