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朝霧 玖美
朝霧 玖美
novelistID. 29631
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指輪

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既婚者だけど、あなたは指輪をしていない。
私はお守りのようにいつもしている。

でもあなたと一緒の時、あなたにも夫にも申し訳なく思う。
だから、二人の時は外してしまう。
それでも日焼けして白く残ってしまう指輪の跡。
それはどうやっても消せはしない。

クリスマス近いデートの時、思いきって言ってみた。
「ねぇ。。プレゼントに指輪が欲しいんだけど、いいかな?」
今まで何かをおねだりしたことはなかった。
だってこうやって逢うだけだって負担になるものはある。
それだけで十分だったけれど、でも指輪は欲しかった。

「指輪?いいけど、どんなもの?」

贅沢なものは要らない。
ただ私の誕生石が1つついたもの。
そしてそこに二人の共通のイニシャルを一文字彫ってもらいたい。
あなたと一緒の時にネットで探した。
そして一つ決めてあなたが郵便局留めで受け取るようにした。

次の逢瀬の時、コートのポケットから大事そうに
あなたが小さな箱を取りだした。
「ずっと胸のポケットに入れていたんだ。僕の心がくっつくように。」
ソファに座っている私に渡してくれた。
私は包み紙もあなたの心の一部分と思って、丁寧に畳んで開けた。

ネットで見たよりも、小さかったけれど二人のイニシャルが光っていた。
「ねぇ、指輪をつけてくれる?」
そう言って左手の日焼けの跡のある指をあなたに差しだした。
誰も見ていない秘密の儀式。
結婚式は神に誓った。
今は二人の愛に誓った。
出口のない、終わりのある愛だ。
それでも構わない。

二人で薬指の指輪を見た。
そして唇を合わせた。
ギュッとあなたの首に手を回して抱き付いた。
耳元で言う。
普段はつらくなるから口にはしない言葉。

「愛している、ずっと。」

そして灯りに向けて指輪をかざした。
ほんのりと輝いていた。


「お願い、この指輪だけをまとった私を抱いて。」


ベッドに運ばれ、服を脱がされいつもの愛撫に溺れていった。
うれしい気持ちがあるから、いつも以上に濡れてしまう。
女は感情が身体に出てしまう。
指を絡め合い、あなたも指輪を眺めていた。

「今は僕だけの君だ。」
「私だけのあなたね……。」




いつか終わりが必ず来る。
どんな別れ方をするか分からない。
でもこの指輪を見る時、二人で分かち合ったこの幸せな記憶を思い出す。
人は死ぬ時、思い出しか持って行けない。
それで十分。
愛し合った記憶、もし年老いて忘れてしまっても心の奥にきっとあるだろう。
それを持って行ければ十分。

それまで大事に時々指にはめてあなたを思い出そう。
でもそれは先の話。
今はあなたの手に抱かれて一緒に冬の空に舞い上がろう。


FIN
作品名:指輪 作家名:朝霧 玖美