里見八犬伝から辰巳八犬伝へ
伏姫と神犬八房との堅い絆から飛び散った、「仁義礼智忠信考悌」の八つの霊玉は人の形を作りだした。
この霊玉を持つ8人のこの犬士が人間なのか、人間を越えた存在なのか・・・、それは自害した伏姫だけが知っていた。
8人は富山へと身隠れをしてしまったが、中でも一番貴い仁の玉を持つものには大きな使命が課されていた。
それは八つの霊玉の意味するところを、人々に伝えると言う大きな使命であった。
霊玉は水晶の108個の珠からなるお数珠から飛び散った崇高な霊玉であった。
8人はその霊玉のパワーのおかげで、距離が近づくと感応しあってその存在を教えあい、肉体的な怪我や病気の治癒も早めることが出来るのであった。
仁は後に、宮中の姫と結婚をすることになった。
姫の誠に忠義を示し、お子を作ること、それが仁の生きる使命となった。
その頃、宮中のもう一人のお姫様が、あるお方とご結婚をした。
そのお姫様も玉の子をお産みになった。
その玉は翡翠(ひすい)のパワーを持ち得て、御霊(みたま)の子たちを作った。
翡翠は現世と霊界を繋ぐ石、そして大事な方との魂と心を繋ぐ愛のパワーがあった。
水晶の霊玉の人と翡翠(ひすい)の御霊(みたま)の人は、いつしかお約束をするときが必ず来なければいけなかった。
水晶と翡翠。
霊玉の人と御霊の人。
いつの日か、いつの世か・・・・・、必ず必ずお約束の時を。
そして、いにしえの宮中がまた雅に広がると誰しもが願っている。
作品名:里見八犬伝から辰巳八犬伝へ 作家名:シエラ