詩まとめ
魔女の末裔
火炙りにされる前に、二人が焼かれてしまう前に
幸せに暮らせた事を夢のように思い出して
焼かれ爛れて、燃え尽きて灰になるまでに
君と口付けを交わそう 忘れてしまう前に
どうか次こそは二人で幸せになれるように
どうか次こそは君が幸せで在れるように
どうか次こそは幸せな僕になれるように
魔女の末裔が、そこに心臓を残した
「愛してたんだよ。確かに愛してたんだ」
「そう。それで?」
「今は…どうだろう。
愛していて、それなのにまだ苦しいんだ。
ああ、こんなにも僕は君がいとおしいのに」
「可哀相な子…それは恋ね。貴方は恋を知らなかった」
「恋?これが?」
「そう、恋。幸せね、貴方が恋した人は。
だって、貴方は今も未だ恋焦がれている。
……愛されるって、幸せな事よ」
「……嘘だ」
「そして、愛するって、素晴らしい事なのよ」
鮮やかに紐解かれた血管が、赤みを増した
魔女の末裔は、誰だったろうか