詩まとめ
春よ、来い
雪が似合う、と、僕より雪の似合う貴方が言った、三月
好きと言う気持ちだけで
生きて行けるなら
嗚呼
どれ程素晴らしいのだろう
好きと云う気持ちだけで
他にはもう何も要らないなんて
嗚呼、ああ
「雪が降ったよ。大雪さ、外に出てご覧」
「寒いよ、ここはこんなにも寒いのに、貴方は平気なの?」
「寒いなら走ればいい。そうすれば、体はもう春色さ!」
「随分と忙しない春だね、貴方はいつもせっかちだ」
「時間は待ってはくれないさ」
「そうかな」
「そうさ」
冬に生まれた僕が、春に死す貴方を見送る
芽吹く緑はまだ瞳に眩し過ぎて、雪解け水に隠した
隠したまま、幾年の時が流れ、やがて、
やがて、雪解け水は、氷塊になり、
地中深くへ
もう季節も無い、ここは
ここは何処だろう
「夏が来るね」
「解けた雪が流れ付く先に行こう」
「行ってどうするの?」
「どうもしないさ」
「じゃあ秋が来たら、雪を見に行こう」