詩まとめ
業欲
青銅の器を火にくべ、毒を煮る
蜥蜴の尻尾、蝶の骨、漉して煎じて
囀る鳥の羽撃きですら煩わしく思う
虹色に輝いた夢の切れ端が炎を灯す
暗く、暗く、落ちてゆく夢
この強欲は九鼎
器から零れる水は
けして戻る事はない
ましてや君をば
引き摺る繻子、衣は金なりて
蝕のない琥珀の簪
富は闇夜に潜むとこしえの欲
葡萄酒に沈む真珠
さざめく入江の片隅の荒屋に君を囲いたい
淡く描いた帆布に君の姿を留む
青く、青く。君の姿だけが輝く
この悪意は恋だと、夢を金で買う
獄の夢こそ真、ならば君は金か
珊瑚も翡翠も水晶も、君に捧げても意味は無い
君は受け取らない
何もかも私からも
与えられるだけで満足するような君では無い
2012.10.22