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でんでろ3
でんでろ3
novelistID. 23343
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仰げば尊し

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「仰げば尊し 和菓子の恩」
そう歌えというのだ。誰が? 俺の担任だ。

卒業式の数日前、式歌の練習があった。
誰も、まともに歌いやしねぇ。俺のクラスが一番ひどい。
なぜか、と問う担任に答えてやった。

「あんたが嫌いだからだ。尊敬なんか出来るか」

他の奴らと同じように、シカトしてれば良かったんだ。
反抗して見せる価値もない。そんな奴だった。

じゃあ、こう歌え。と、担任はヘタクソな字で黒板に書きなぐった。

「仰げば尊し 和菓子の恩
 押し絵のにワニも 早い苦と瀬
 重エヴァ いと都市 この都市、月
 今こそ 分かれ目 いざさらば  」

こいつは、いつもずれている。狂っていると言っていい。
そうじゃ、ねぇだろ。教えるのは、逃げ道じゃなくて、教師の威厳だろ。
だから、あんたが、嫌いなんだ。

何で嫌いなんだ? 他の連中は、とっくに嫌うの通り越して、あきれてる。
嫌う価値もないんだ。

卒業式当日、式歌を歌う奴は、やはり少なかった。
どういうわけだか、俺は歌った。
黒板に殴り書きされたあの歌詞を。

そういや、この後、紅白まんじゅうが配られるんだっけ……。
俺は甘いものが嫌いなんだ。
あいつにくれてやる。
作品名:仰げば尊し 作家名:でんでろ3