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太陽の下を歩けたら~プロローグ~

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「ありがとう…涼くん」
そう言いながらゆみが抱きついてきた。何も言わず僕はゆみの背中に手を回した。ゆみの身体が思っていたより小さく感じた。
 僕たちは時間が止まったかのように抱き合っていた。しばらくして落ち着くと、ゆみは熱に浮かされたようにこれまでのことを語りだした。中学二年の時に交通事故で両親が亡くなったこと、それから父親の弟である叔父に引き取られ茨城から東京の学校へ転向したこと。それから今日までの三年間、このマンションで叔父からの性的虐待にずっと苦しめられてきたこと…
 ゆみの話を聞き終えた頃、僕はこれからゆみを守っていく決心が出来ていた。そしてその時はまだ自分でも気づいてはいなかったが、僕の心の中で、冷たく悍ましい何かが目覚めていた…