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母の想い出

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母の想い出



 私の母は大正生まれです。甘いものが好きで、植物が好きで、写真撮影が好きで、というと普通のおばさんだったと思うでしょう。でも、子供の頃はターザンごっこが好きな活発な少女だった、となると、ちょっと面白い人間だったと思ってもらえるかも知れませんね。
 小学生の頃は、なかなか学校へ行かせてもらえなかったようです。お祭りのときに親があっちこっちの神社などで、いろいろなおもちゃを売っていたようです。お面とか、風船とか、子供が喜びそうなものを並べて商売をしていたらしいのです。しょっちゅうそういうところへ連れて行かれて、学校には行かせてもらえなかったということでしょうか。
 農家だったので、田畑を耕すということもさせられていたようです。農耕馬を引いて耕作地を歩き回っていると、裸足なので足が血だらけになったとも、云っていました。稲の根株を裸足で踏むと、足が傷だらけになったそうです。
 母が云っていたことで印象的だったのは、UFOを見たことがあるという話でした。映画「インデペンデンス・デイ」に出て来たような巨大UFOが空を通過したと、興奮しながら云っていました。そんな夢を見たのでしょう。
 話が飛びまして、母が二十歳前の頃でしょうか、箱根の旅館で働いていたことがあったようです。そこに長く宿泊した東京の大学生と、恋に落ちたと云っていました。母は文学少女だったらしく、読んだ小説は多かったようです。
作品名:母の想い出 作家名:マナーモード