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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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第二章 幻想御手編



「幻想御手だぁ?」
叶は単純に声を張り上げて言った
「ええ、今のところこれしか理由が浮かばないですの」
ツインテールの少女が少年に答える
ちなみに花飾りの少女は風邪で休みだそうだ
時刻は夜
黒子は今ファミレスから戻ったらしい
「…で、御坂は高校生の男と追いかけっこか」
「不良つきですの」
「…大体話は読めた」
また上条は…
叶はそう片付けることにした
「で、他に情報は?」
「無いですの」
「そうか…まぁ、追々調べていくか」
「そうですわね…それよりも」
黒子は改まって叶に訊く
「この前の件は何ですの?複写能力というのは…」
「ああ、それな…」
そして叶は一切の事情を話した
「なるほど…」
「まあ、この能力は色々珍しいから、研究したいってやつが山ほどいるからそれを回避するためさ」
「それでも、書庫への登録情報を…」
「まあ、大目に見てくれ」
それに黒子は納得したかのように見えた
そして二人が支部を出ようとした刹那
「「!?」」
電気が消えた
しかし突然ではない
消える直前に電化製品がまるでショートしたかのようにバチバチとなった
「…これは…」
「発電系能力者の干渉…」
「しかも超能力者クラスだな」
そこで二人は気づく
「御坂…」「お姉さま…」
今日は七月十九日
とりあえず黒子の空間移動で支部を出て、叶が空間移動を複写したのは別の話



「…暑い…」
次の日
黒子と美琴はある病院にいた
あのときの爆弾魔が意識不明になり、その件についてある人物から話があるといわれ、待っているのだ
「そういうな白井。昨日の停電の件がまだ復旧してないんだから」
ちなみに叶もいる
黒子が話したら「俺も行かせてくれ」と言ってきて、それでついてきたからだ
そしてしばらくして足音が聞こえてきた
「お姉さま!」
美琴は寝ているようだ
しばらく黒子がゆすってみるが、起きる気配は無い
そして…
「ここは、わたくしの愛のキッスで…」
そう黒子は唇を伸ばす
しかし美琴は起きて…
案の定鉄拳制裁が落ちる
それを叶は呆れてみていた
「遅れてすまない」
そこに女性の声が響く
「私が、木山春生だ」
叶は少し笑みを浮かべた



「しかし本当に暑いな」
木山は手で自分を仰ぐ
「ここでは真夏日でも冷房をつけないのか?」
木山はつぶやく
通りかかった看護師によれば、昨日の落雷で送電線が断線してしまったらしい
木山は非常用電源などは患者や機器に優先していると解釈した
そして木山は自己紹介した
先攻はAIM拡散力場らしい
それにならって美琴と黒子も挨拶する
そして
「お久しぶりです、木山先生」
叶はそう告げた
「…君か…天岡」
「ええ。こんなところでお会いできるとは思っていませんでしたよ」
「私もだ。…君は今風紀委員をしているのか」
「そしてこの担当ですよ。皮肉なもんです」
「えーっと…」
美琴が割って入ってきた
どうやら話についていけなくなったらしい
「ああ、すまん。木山先生は、俺が小学生のときの担任の先生なんだよ」
「へ、へぇ…」
叶の話に夢中になっていたせいか、木山から目を離していた二人は木山に目を向ける
そこには…
「なにこんなところでストリップしてますのーーーーー!!!」
木山が服を脱いでいた
理由は暑いからだそうな
黒子は必死で注意する
その様子を引きつった笑みで見つめる叶
「…お変わりありませんね、先生」
「君もな。能力のほうはどうだ?成長を続けているのか?」
「ええ。だいぶ能力もたまりました。でも、超能力者の能力のうち1つしか手にできてないのは惜しいですね」
「そうか…」
どうやら黒子は話についていけないらしい
「えーっと、天岡さんの複写能力とやらの話ですの?」
「ああ。俺が持ってる超能力者の能力は御坂の超電磁砲だけだ」
「そうですの…」
その優しい口調とは裏腹に叶には黒子の裏に黒い何かが見えた
「あ、白井、何か勘違いしてるようなら弁解するが、一回握手したときに複写したんだぞ」
「そうでしたの」
黒子の黒いものが一瞬にして消えたように叶は見えた



数分後、黒子が事情の説明に入る
幻想御手のこと
そしてそれと昏睡状態の能力者について
それに木山は質問を返す
主に幻想御手についてだ
しかし黒子は返答に窮する
「まあ、場所変えましょうぜ」
叶の一言で、彼らはあるレストランへと場所を移した
ついてから席に座り、それぞれドリンクを注文する
「…さて、先ほどの話の続きだが…」
木山が唐突に口を開く
「同程度の露出度でも、なぜ水着はよくて下着はダメなのか―」
「「「いや、そっちではなく」」」
三人がいっせいに突っ込む
見かねて美琴が話すべき内容の説明をする
「…つまりネット上で噂の『幻想御手』なる物があり、君達はそれが昏睡した学生たちに関係しているのではないか…と、そう考えているわけだ」
美琴はそれに「はい」と答える
そして黒子が捜査の現状説明をする
その判断に木山は理由をつけて妥当な判断だと評した
「で、なんでそんな話を私に?」
それを踏まえたうえで木山は質問する
「能力を向上させるということは、脳に干渉するシステムである可能性が高いと思われます。ですから…」
「『幻想御手』が見つかったら、私にそれを調査してほしい、そういうことだな」
「はい」
叶が答え、木山はそれを承諾した
「構わんよ、むしろこちらから協力をお願いしたいくらいだ」
「ありがとうございます」
叶は座ったまま深々と頭を下げる
「ところで…」
唐突に木山が話を変えた
「あの子達は君たちの知り合いかね?」
そう言って窓を指さす
3人がその方向に視線を動かす
そこには
べったりと窓に貼りつく涙子と、それを苦笑いで見つめる飾利がいた



そして二人を交えて話を続ける
飾利は、黒子に何の話をしていたのかを訊いた
黒子は簡潔に「幻想御手のことで相談していた」と答えた
それを聞いて涙子はポケットから何かを取り出そうとする
しかし
「幻想御手の使用者を捜索して保護することになりそうですの」
それを聞いて涙子は手を止めた
黒子は同僚に向けて説明する
それを聞いて、親友の様子がおかしいと考えた飾利は「どうしたんですか、佐天さん」と目の前の少女に声をかける
突然のことに動揺して涙子は何かを持っていた腕をとっさに引っ込めた
そのとき、アイスコーヒーのグラスに手を引っ掛けてしまい、こぼしてしまった
あろう事か、木山の大腿部の上に…
「ああ、スミマセン」
「いや、気にしなくていい」
―…ヤバイ…
叶考えたことは、現実となる
「かかったのはストッキングだけだから、脱いでしまえば…」
叶の予想通り、木山はその場で服を脱ごうとした
それを黒子は全力で止めにかかる
今回は涙子も一緒に説教をする



日が暮れるころ
今回の似非会議はお開きとなった
「教鞭を振るっていたころを思い出して楽しかったよ」
そういい残して去っていった
「そういえば、天岡さんの担任でしたのよね」
「そうだな。懐かしかったよ、色々とな」
そして飾利は唐突に涙子に訊いた
内容は、何か見せたかったものがあったのだろうが、なんだったのか、というものだった
しかし涙子は何かを思い出したかのように帰っていった