二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

INDEX|34ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 

終章 エピローグ、またはプロローグ



俺はある施設の前にいた
旧病理解析研究所
絶対能力進化実験のときに御坂が麦野達『アイテム』と争ったところだ
今はそこを改装して、木原の研究施設として運用されている
俺はその門を正面からくぐっていった
あの日、病理にここへ来るように言われてから五日目の朝を迎えていた



その日、叶は静かに夕食を食べ、番号無しが寝るのを見計らった後祐樹に話を持ちかけていた
「母さん、話があるんだけど」
「何?小遣いならこれ以上は値段上げられないわよ」
「いや、真剣な話なんだけど」
というより、小遣いなら十分過ぎるほどもらっているというのが叶の弁だ
「で、何よ。そんな真剣な顔して」
祐樹は叶の正面に座り、真剣な面持ちで叶に聞いた
かくいう叶は黙り込んでいた
どうやらどうやってこの旨を伝えようか言葉を選んでいるらしい
―…というより、変な言葉並べても伝わらないか
叶は意を決し、祐樹へと目を向けた
「…母さん、俺、木原に戻るよ」
その言葉を、祐樹はコーヒーを啜りながらさも当たり前のように受け止めていた
「…驚かないんだ」
「いつか言うと思ってたわ。貴方だって研究者の端くれなんだし、何か知りたい事があるんでしょう?」
「まあ、ね」
彼の旨の内には、二人の人間が浮かんでいた
第三次製造計画の個体、番号無し
そして学園都市の統括理事長、アレイスター=クロウリー
特にアレイスター
彼ならば何かを知っているのかもしれない
そう叶は考えていた
「全く、貴方はホント旦那に似てるわね」
「いや、縁を切った時点で"元"旦那じゃね?」
「あら、あの人に関しては木原の中でもマシな人間だったでしょ?私はまだ、あの人のことは愛してるわ」
「そういう母さんも、諦めきれないわけか」
「当然よ」
そんな会話をしながら、親子は笑いあった
「まあ、そんな親父に感謝の一つも言いたいのも目的の一つなわけだ。…だから、行ってくる」
「拒否権は、無いのね」
「一応あるっちゃあるけど、止めないでほしいかな」
そんな息子を見て母親は微笑む
「じゃあ、止めない。でも…」
祐樹は立ち上がり、叶の側による
そして手を伸ばして抱きしめる
「ちょっと、母さん!」
「ちゃんと、たまには帰ってくるのよ。何処へ行こうが、ここが貴方の家なんだから」
叶は少し恥ずかしい思いをしていたが、その二言で黙ってしまった
「…悪い、母さん。でも、いつになるかわからないけど、絶対帰ってくるから。…それまでは、番号無しには黙っててもらえるかな」
「どうして?」
「知られちゃいけないんだ。『妹達』の、第三次製造計画のこと。あいつは真実を知らない。だから…」
「分かった。善処するわ」
これだけの言葉で伝わったらしい
やはり、祐樹はちゃんと母親だったようだ
叶はそんな母親を見て
「ありがとう、母さん」
礼の言葉を述べるのだった
それから数日は、学校への休学の申請を出したりと忙しかった
そして一つの真実を知る
「えっ、昨日紅葉も休学届けを出した?」
叶は担任を前にして驚きを隠せなかった
「ああ。…というより、お前あいつと仲良かったのに知らなかったのか?」
彼の名は天井熾露(あまい しろ)
苗字の通り、天井亜雄の兄だ
担当教科は能力開発系統の教科
学校の教師で唯一、叶の能力について知る人物だ
「知るも何も、最近忙しくて紅葉と話してなかったから…」
「まあ、そういうこともあるか。…しっかし、うちの二大巨頭が両方休学とはなぁ…」
実は叶と紅葉は黄鐘大付属高校のハイランカーの中でも一番超能力者に近い(叶は超能力者だが)能力者なのだ
その二人が休学ということは
「ホント、大覇星祭の後でよかったわ」
「ホントっすね」
必然的に学校としてのレベルが下がるということである
「今年はお前が出てくれないせいで常盤台にも長点上機にも負けて三位だぞコラ」
「俺がいても変わんなくね?能力偽ってんだから全力出せなくね?」
と、まあこんな他愛もない会話をして、叶は学校を後にした
そして、今に至るというわけだ



―母さん、上手く番号無しを諭せているだろうか…
叶の心配事はそれだけだった
しかし叶はそれを頭から払い、施設の自動ドアをくぐった
入った瞬間、各種機械の駆動音と中にいる研究員らしき人間の声ばかりが聞こえてきた
「天岡叶さんですね。病理さんがお待ちです。こちらへどうぞ」
不意に、受付嬢らしき人物に声をかけられた
そして言われるがまま案内された部屋へと入っていった
「あ、叶君、やっと来たのですか。あまりに遅くてあと十二時間ほどしたら貴方の家へ強行突破するところでしたよ」
「あんたが言うと冗談に聞こえないっての」
部屋の中で待っていたのは木原病理だった
「てか、十二時間ってまだ今日じゃね?」
現在時刻は午前九時
十二時間経ったとしてもまだ三時間ほど余裕がある
叶にしたら自宅とこの場所を三往復ほど出来る時間だ
「あら、そうでしたっけ。最近時間感覚が無くなってきましてね」
叶はあからさまなため息をつき、病理に問うた
「で、俺はちゃんと来たぞ。これから何をさせるつもりだ」
病理は微笑み、そして告げる
「貴方には平の研究員兼木原の遊撃隊として働いてもらいます」
「…研究員ってのは聞かないでおくわ。遊撃隊ってなんだよ」
「言葉通りの意味ですよ。必要に応じて任務を受けてもらいます。言わば、貴方一人の暗部組織のようなものです」
叶は眉間にシワを寄せた
「…給料は?」
「その辺にいる研究員よりは高くしておきますよ。なんたって貴方は『木原』なんですから」
叶は顔をしかめた
そうだ
今日から叶は『木原』に戻るのだ
それは必然的に、木原の性を名乗ることでもある
「とうわけでよろしく、私たちの家族よ(Our family)」
病理は、ニヤリと口角をあげていた



その頃
「叶は何処って、ミサカは祐樹に聞いてみる」
番号無しは、涙を流していた