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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

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行間 絶対能力進化実験



八月二十一日
俺が一番望んでいた日であり、またあいつが全てを失った日だ
…そう、絶対能力進化実験
人工的に絶対能力者を生み出そうとする、非人道的実験だ
その被験者は一方通行
学園都市第一位の超能力者であり、全てのベクトルを操るチカラを持つ
内容は、学園都市第三位の超能力者、御坂美琴を百二十八回殺害することであった
しかしそれは、それこそ非人道的であり、また御坂美琴を百二十八人も用意できないとして凍結されていた
しかしこれは、誰もが予想していなかった方法で実行された
実は御坂美琴には、彼女のDNAマップを使用して生み出された、『妹達』と呼ばれる軍用クローンが存在していた
そしてそれを使って実験が続行出来ないかと『樹形図の設計者』を用いて演算がし直された
するとどうだ
『妹達』を用いての実験の演算の結果、二万体のクローンを、二万通りの方法で殺害することにより、同じような結果が得られるという結果が出されたのだ
ということで急遽、実験の主要研究者達が再度集まり、実験が行われることとなった
その時、俺も高速演算を持つ木原の研究者として実験に参加した
まあ、実験中期になってで俺は抜け、風紀委員として一七六支部に配属されたのだが
そして、この実験においての重要人物、一方通行
上記の通り、学園都市第一位の超能力者
今ではそのチカラの大部分は、演算能力の損失という形で失われ、奇しくも自分が殺し続けてきた『妹達』の構成するミサカネットワークを利用しての演算補助を受ける身となっている
だがその力はまだ健在だ
次に、御坂美琴
こちらも同じく第三位の超能力者だ
能力名、電撃使い
電気を操るだけでは無く、磁力を操作したり、簡易的なハッキングを行うことも可能
そして彼女の必殺技というべき技がコインを使ってのレールガン
このことからついた通り名も、超電磁砲である
彼女も今は今まで通りの生活を送っているはずだ
…とりあえず、今までも破天荒な生活を送っていたのは言わないでおこう
そして、この実験において、最もイレギュラーな存在であるこの男
上条当麻
無能力者と身体検査では出ているはずだが、それに引っ掛からない特性を持つ右手、幻想殺しを持つ存在
異能の力なら何でも打ち消せるらしく、実際に俺達が使う能力も打ち消されたりしている
本人いわく、魔術も打ち消せるらしいが、そのほどはわからない
だが、彼がいなかったら実験が凍結されなかったのも事実だ
そう、俺は、あの実験を止めることは出来なかったのだ…



八月中旬
幻想御手事件の時に木山先生に確認し、実験が存続している事を悟った俺は実験を止めることを考える
まずは芳川さんに連絡し、研究所を尋ねて進行状況を確認
既に一万体を超えている様だった
手遅れだとは思ったが、それでも止めないわけにはいかない
そう思った俺は、芳川さんから実験予定ポイントを示す地図をもらい、研究所を後にした
次に知る限りの事件に携わる研究所を尋ね、潰して回ろうと画策した
しかし、それはあまり叶うことはなかった
ほとんどの施設が壊されていたのだ
俺は風紀委員として立ち入ろうと近くにいた研究員に交渉した
だがそんなにうまくいくはずがなかった
やはり実験が実験なためか、上がこの件を揉み消そうとしているらしい
ならば、使えるものを使ってやる
今度は、自分が木原一族の人間だと言って、通してもらおうとした
そうするとすんなり通ることが出来た
…皮肉なもんだ
まあ、俺が木原一族の人間であることは事実だ
一応、縁だけは切ってあるが
こうして俺は『木原』から派遣された人間として敷地内に立ち入った
調べて確実に分かったのは一つ
この建物を破壊したのは、高レベルの電撃使いということだ
これは色々な被害状況をまとめて推理した結果だ
まず施設内の電気系統がやられていること
次に施設のデータバンクにハッキングがかけられた痕跡が微量だがあること
そして、最大の証言
中学生くらいの人間が、電気を放って研究員達を攻撃していたという目撃証言だ
ここまで来ればわかるだろう
襲撃者は、御坂美琴と見て間違いはない
こんなことが容易に出来るのは彼女だけだ
それにどこかでこの計画のことを知ったのならば、彼女なら止めないわけが無い
俺は、調べるだけ調べてすぐに引き上げた
そして家に帰り、情報を整理した
そうしているうちに引っ掛かることがあった
本来ならば、『樹形図の設計者』から情報の更新があったりするものだ
世界最大の超高度並列演算機とは言え、誤差は出るものなのだ
それが滞っていることに俺は気付いた
俺はすぐさま昔から持っている木原のコネを使って、『樹形図の設計者』について調べた
すると面白いことが分かった
「…何?『樹形図の設計者』が二週間前に何者かによって破壊されているだと…?」
詳しく聞いてみると、七月二十八日午前零時二十二分、正体不明の光線が学園都市第七学区より飛来、『樹形図の設計者』に直撃し破壊され、学園都市の上層部がその残骸を回収しようとしているらしい、ということだ
ということはつまり
「…つまり、『樹形図の設計者』は今は存在しないということか…」
俺は重要機密に触れてしまったらしい
だが、だからといってすぐに消されることはないだろう
俺は実験を止めることに専念することにした



八月十九日、俺は風紀委員の仕事をこなしつつ、計画を止めるために奔走していた
見回りを続けている最中、俺は御坂を発見した
よく金を呑み込む自販機のあるあの公園だ
学舎の園から自身の寮へ向けて帰る途中のようだが、俺は違和感を感じていた
その背中に覇気が感じられなかったのだ
俺は思わず声をかけた
「おい、御坂!」
「…ああ、アンタか」
ゆっくり振り返った彼女の声にも覇気が感じられなかった
「アンタかじゃねーよ。何疲れた顔してんだよ」
「アンタには関係ないでしょ…」
ふむ、どうやらこれは、また新たな施設でもぶっ壊しに行くつもりか
そう思った俺は、少し横槍を入れてみることにした
「そう冷たくすんなよ、常盤台の超能力者サマ。…最近の研究所襲撃事件、全部お前だろ」
俺がそういった時、御坂は少し動揺を見せた
いつもならば、もう少し余裕なはずだ
しかし今の彼女にはそれがなかった
「…なんで…知ってるの…それ…。…だって、ニュースでやってないじゃない…」
少し声が震えていた
核心を持ったカマだったが、うまくいったみたいだ
やっぱり御坂がやっていたのか
「…この前言ったろ、俺が木原一族だって。…一応、今でも情報くらいは仕入れることは出来るさ。…最も、今回はそれで気付いたんじゃないがな」
「…どういうことよ」
疑問に持つのは普通だ
俺はゆっくりと話した
「俺も考えていることは同じだ。…俺も、実験を止めるために動いている」
「…それは、私に対する嫌がらせ?」
御坂がドスをきかせて話す
「そうじゃねーよ。俺の過去に関することだ」
「…差し支え無ければお話してほしいのですが」
いつに無く丁寧だ
御坂ってこんなだっけ…?
そう思いつつも、俺は御坂に自分のことを話した
「ちょっと前の話だ。俺が中学生の頃…十四歳頃かな。俺は何も分からずに高速演算を持つ能力者として実験に参加していた…」