二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

とある夢幻の複写能力<オールマイティ>

INDEX|10ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 

第三章 乱雑開放編



「…乱雑開放(ポルターガイスト)…ねぇ」
叶は腕を組んで目の前の食べ物を見つめていた
「そう。しかも第七学区だけで観測されてるの」
叶は今日の会議にある用事で参加できなかったため、こうして母親から説明を受けている
「…母さんの見解…てか仮説は?」
少年は自らの母親に答えを求める
「…AIM拡散力場…」
「へ?」
「それが関係してるんじゃないかっておもうの」
叶は黙って見解を聞く
「それで、暴走能力者のそれと、通常能力者のそれが共鳴…ていうか、共振してそれが広がっていって、大きなゆれを起こしてると思うの」
「要は、どこかにいる暴走能力者と通常能力者のAIM拡散力場が共振して揺れが生じる…と、言いたいわけ?」
「そんなトコかしら。でもね…」
祐樹は追って説明する
「その中心には複数の暴走能力者が必要なの」
「…逆に中心にいる人数が少人数だと暴走状態になっても起こらないって事?」
「うん。だから例えば、数人が暴走状態になってもその人たちがばらばらに位置していたら影響は無い」
「…そっか…。流石はAIM拡散力場を先攻していただけはあるね」
「おだてても何もでないわよ」
「へーへー」
とりあえず二人は食事に手をつけることにした



春上衿衣
異能力者の精神感応能力者だ
彼女は先日、柵川中学に転校し、いまは同じ中学の風紀委員である初春飾利と同じ寮の部屋で暮らしている
「…で?お前はその子が今回の事件を起こしている中心だと?」
「そう…ですの」
風紀委員第一七七支部
この建物の名だ
「だがなぁ…言ったろ?乱雑開放の条件」
「そうですけど…。ですが、それが起こるときは必ず彼女に異変がありますの」
それは報告から聞いている
「…確か書庫の登録情報には、『特定の人物との交信時に自身のレベル以上の能力を発揮する』とあるが、それが例のRSPK症候群と関係があると?」
「…そうとしか思えませんの」
「で、俺はこの前の会議には野暮用で出られなかったんだが、その話は主に誰が?」
「えーっと…確か、テレスティーナさんでしたの」
「テレスティーナ…。どっかで聞いたことがあるな…」
叶は顎に手を当てて考える
「まあいい。RSPK症候群についてはこっちでも調べておくから、そっちは…その…あれだ。他の学生たちが―」
「分かりましたの」
どうやらすべて言わなくても通じたらしい
本当によくできた後輩だ
「じゃあ、頼んだぞ」
そして黒子はその場から消えた
「…テレスティーナ…まさか、テレスティーナ・LL?いや、まさかな」
―…もし、本当にMARの奴なら…
 俺がケジメをつけないといけないな…
そして叶も仕事を片付け、支部を出る
「…ちょっと先生のとこ行くか。…釈放されたみたいだし」



第七学区にある病院
そこに木山はいた
その場へ一人の医者が現れた
「やあ。遅れてすまないね?」
「先生…。いえ、それよりも」
木山は少し疑問を抱いた
遅れてきた冥土帰しにではない
同伴している少年にだ
「…先生。こんなところに…。しかも、あの時の子供たちも…」
「天岡…君なら分かるだろう?」
「ええ、分かりますよ。あの時、…この子達をモルモットとして扱ったその日から、この子達のために奔走する先生を見ていたら…。誰だって否応無しに分かりますよ…」
そして叶は隣の部屋にいる子供たちに目を向ける
もう歳は十二,三歳と言ったところか
そこには八人の子供たちがいた
彼らは今も眠っている
「…ドクター、この子達、今も暴走状態のまま眠ってるんですよね…」
「そうだね?」
「じゃあ、"そのまま覚醒させたら"どんな状態で目覚める?」
その質問に二人の先生と呼ばれる者は目を見開いた
「…そのまま目覚めるね?…それが目的かい?」
「まあね。やっぱり最近起こってた乱雑開放はこの子達を無理矢理目覚めさせようとしたからなんだ…」
「…やはり君は勘が鋭いな。流石は『八人目』」
「いや、関係ないです。…で、目覚めさせる方法はちゃんとあるんでしょ?」
「…あるにはあるが…」
木山は返答に窮する
「僕が話そう」
そこに冥土帰しが割り込んできた
「能力体結晶…俗に言う『体晶』だね?それのファーストサンプル」
「…テレスティーナ・LLの体から生成されたアレですね」
「ああ。それを基にしてワクチンプログラムを作成してインストールする必要があるんだよ?」
「まさか、学習装置を使って!?」
叶は声を張り上げた
「そうだ」
木山は冥土帰しの言葉を引き継ぎ、答えた
「だが、彼らの人格をいじるつもりは無い。あくまで目覚めさせるだけだ」
「…先生が言うことなんだから、他意はないだろうけど…」
そして叶は尋ねる
「…これからどうすんの?」
「とりあえず、もう一度ファーストサンプルを探しに閉鎖された研究所を廻ってみるよ」
「じゃあ俺も別方向から調べてみるよ。…母さん心配してるかな」
「それじゃあ送っていこうか」
「ありがとうドクター。じゃあ、お願いしようかな」
そして二人は去っていった
「…彼のあの勘は本当に能力一つじゃないのか…。それとも理解していないだけなのか…」
木山はそうつぶやいた



その次の日
美琴はある研究所へ侵入
くしくも木山と遭遇し、事実を知る
そして子供たちは…
テレスティーナにより保護されることとなる



「…やはりおかしいな」
「何がですか?」
いつのまにやら一七七支部に入り浸っている涙子が尋ねる
「テレスティーナって奴だよ。だいぶ前からつけてないとそれこそ御坂の目的をちゃんと理解して無いとあんなに確実に場所を特定できないだろ?もしかして別に目的があったんじゃないかって」
「やはりそう思うのですか…」
「そういや初春は?」
叶は花飾りの少女の所在を訊く
「確か今、木山先生のところへ行ってるはずですけど…」
刹那、涙子の携帯電話が鳴り響く
「あ、ウワサをすれば」
どうやら飾利らしい
涙子はその電話に出る
「もしもーし…あれ、初春、どうしたの?」
なにやら様子がおかしいらしい
涙子は泣いている子をなだめるような様子で話す
「…えっ?テレスティーナさんが?」



テレスティーナのところに木山がまとめた資料を持っていったところ、それを無下にされた
それが初春の言った大まかな成り行きだ
「それと、確かに『木原』と言ったんですの?」
飾利は泣きじゃくりながら頷く
「…テレスティーナ・木原・LL…」
叶がつぶやく
「木原幻生の能力体結晶抽出実験、及びそれによる絶対能力進化の最初の被験者だ。…クソッ、マジでアイツだったのか…」
「知り合いですの?」
「ちょっとした腐れ縁ってヤツさ」
そして黒子が異変に気づく
「…お姉さまは…どこへ?」
今までいたはずの美琴が姿を消していた



数時間後
美琴はある病院のベッドで目を覚ました
どうやら気を失っていたらしい
理由は明白
「…テレスティーナの正体を知り、その原因を作り出した自分で子供たちを助けるためにやつと戦い、敗れたか…」
叶はその病室の前で壁に背を預けていた
「…ドクター、奴の容態は?」
「問題ないね?すぐ退院できるよ?」
「そう…」
冥土帰しの言葉を聞き、少年は安堵感を覚える
「…あの子達は…やっぱり…」