日々
「青の罠」
「グンジョウイロ?」
オカッパ頭をかしげ
ほころんだ口もとに
抜けた前歯がのぞく
この子の頭の中には
空の色と水の色しかない
細い指に力を入れて
そらいろの空を塗りつぶす
みずいろの海を塗りつぶす
空はそらいろ
海はみずいろ
刻々と変化する夜明け前の東の空
夜と昼のさかい目は
行き場を失った言葉達のたまり場
青い世界で人知れずうごめく
不眠症の言葉達が
すり切れた神経を逆立てながら
深い深い海の底
青だった闇が広がる
果てしなく落ちた想いの
行き着くところ
積もって、積もって、積もって
小さな火山となっていくつも連なる
人知れず赤いマグマをたぎらせて
微妙な色合いの陰に潜む罠が
あやうく、もろく、
立ちはだかる
まだ人生のほんの入口
アイスブルーも
コバルトブルーも
ただの青
見えない青が見える頃
そこは迷路の入口
*「詩人サークル 群青」の10月の課題作品として書きました。