悠々
- 種 -
堅い殻に守られた種が
ぽろりとひと粒地に落ちて
柔らかな落ち葉の上で
風雨に晒され土に埋もれる
暖かな腐葉土に包まれ
たくさんの栄養をもらって
種は堅い殻を突き破り
小さな希望の芽を覗かせる
吹けば飛びそうな程の
若葉を天へと精一杯伸ばし
風に揺らめき弄ばれて
それでも逞しく成長していく
見違えるような姿になり
幾つもの蕾が顔を出して
恵みの雨と日差しの中
微笑むように花開いていく
数多の試練有難く思い
多くの慈しみに感謝して
咲いた笑顔の花たちは
神々しいくらいに美しい
花の命は短いけれども
それはやがて実を結び
遍く人々の胸の中へと
種を渡してゆくのでしょう