漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編)
十の六 【答】
【答】、元々は「合」が「こたえる」の意味を持っていたとか。
この「合」、神への祝詞を入れる器の意味のある「口」に蓋をしている形。
そして問いに対して「こたえる」こと、それに【答】の字を充てたそうだ。
そんな【答】、世の中には二通りあるようだ。
それは「名答」と「迷答」。
足利義満が「屏風絵の虎が夜な夜な屏風を抜け出して暴れる、退治できないか?」と一休さんに問うと、「では捕まえますから虎を屏風絵から出して下さい」と切り返した。
なるほどと感心する「名答」だ。
だが、これが「迷答」となれば、笑えてくる。
森元首相がクリントン大統領を訪問した時の会話。
クリントン大統領に向かって、「Who are you ?」、「お前さんは、誰だ?」と聞いてしまった。
どうも森さんが、「How are you ?」と言うところを言い間違えたようだ。すると、クリントン大統領は森さんに「名回答」する。
「I'm Hillary's husband.」
「私は、大統領だ」と言わずに、「私は、ヒラリーのダンナだよ」と答えた。
上手いこと言ったものだ。
すると森元首相は…それに「迷答」する。
「Me too.」だって。
「私もそうです」って、何を勘違いしたのかな?
外交どころではない。
そしてもう一つ、歴史に残る「迷答」を。
長嶋茂雄さん、若い時にクイズ番組に出た。問題は英語。
「I live in Tokyo.」 (私は東京に住んでます)
これを過去形に直して下さいという質問。さてさて長嶋茂雄さんはどう答えたか?
答は、『I live in Edo.』 (私は江戸に住んでます)。
うーん、確かに過去形だ。
【答】、ことほど左様に、そこにはいろいろな笑いバージョンがあるようだ。
作品名:漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編) 作家名:鮎風 遊