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漢字一文字の旅  第一巻(第1編より第18編)

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五の二  【暁】


【暁】、太陽を表す「日」の横に「尭」(ぎょう)。
この「尭」は、土器を焼く時に 棚に土器を積み上げた形で、そこから高いという意味を持つらしい。
よって、【暁】(あかつき)は日が高く昇り始める意味となる。

春の時期、なかなか布団から抜け出せない。とにかく眠い。
昔、孟浩然(もうこうねん)は「春暁(しゆんぎよう)」で詠った。

春眠 暁を覚えず 
処処(しよしよ) 啼鳥(ていちよう)を聞く
夜来 風雨の声
花落つること知る 多少

春の暁はまことに眠り心地がいい。朝がきたことにも気付かず、ついつい寝過ごしてしまう…と。
さて、この【暁】とは一体朝の何時頃のことだろうか?

それは太陽が昇る前で、夜半から夜明けまでの時間帯のこと。午前四時頃のことのようだ。
その後、東の空が明るくなってくる頃を「東雲」(しののめ)と言う。 
そして、ほのぼのと夜が明け始める時間帯を「曙」(あけぼの)と呼ぶ。
さらに、その「曙」より微妙に明るくなってきた頃、それが「朝ぼらけ」なのだ。

「暁」 → 「東雲」 → 「曙」 → 「朝ぼらけ」
この順番、憶えるには少しややこしい。だが便利なもので、要は一括して、「夜明け」と言う言葉でまとめられる。
とならば、眠いのはなにも【暁】だけではないため、

春眠 暁を覚えず…、そうではなく、
春眠 「夜明け」を覚えず…、の方が、きっと現実に近いということなのだろう。