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漢字一文字の旅  第一巻(第1編より第18編)

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十六の一  【緑】


【緑】、「糸」偏の右部は「剥(は)がす」という意味がある。
ここからなのか、【緑】は皮を剥ぎ取った時の竹の色、そんな色をした「糸」のことだとか。

こんな【緑】(みどり)、どうも平安時代からが登場したようだ。
そして現代では「赤・青・緑」、光の三原色の一つだ。

だが、この【緑】…実にややこしい事態となっているのだ。
代表例が信号機。
そこには赤と青と黄がある。

だが英語では、この「青」はあくまでも「グリーン」なのだ。「ブルー」とは決して呼ばないし、「青」は現存しない。
英語で「ブルー」は、憂鬱という意味合いがある。
安全だから前へ進め! それが憂鬱な「青」では困る。
安心して進んでもOK、それはあくまでも「グリーン」、つまり【緑】なのだ。
国際規格でも交通信号は【緑】・黄・赤と決まっている。

それでも日本の信号では…「青」と呼ばれている。
ならば実際に、それは青色か?

これがまた複雑で、「青」でもないし、そして決して【緑】でもない。いわゆる「青緑色」という範疇(はんちゆう)。
なぜこうなってしまったのだろうか?
これがまた曖昧(あいまい)で、理由がはっきりしない。

また他に、日本では、ちょっと危なっかしい未熟者を「青二才」と呼ぶ。
これが英語では、「He is still green.」…つまり、ヤツは【緑】だと言う。

さらにだ。日本では…【緑】の黒髪…なんちゃって。
一体これは、どやねん!  と、思わず叫びたくなる。

ことほど左様に、【緑】という漢字…「糸」だけに縺(もつ)れてるようだ。