ライカローリンストーン
俺は海賊である。
名前は橙。生まれつきだ。
髪の色も橙。こっちは染めている。
二十には少し足りないくらいを生きてきて、たぶんこれからその数は増えていく。死なない限りは。
ちょっと前までわりと大きめの船に乗ってたが、訳あって今はフリーの身だったりする。
ちなみに彼女はいない。完全にフリー。
ただ最近、新しい連れができた。
年と男前度は俺と同じくらいで、背は向こうのが少し高い。でもあいつ、髪の毛おったててるから下ろせばおんなじくらいかも。
名前は聞いても教えてくれなかったから俺は銀色と呼んでいる。
安直と言うなかれ、やつの髪が銀色だからだ。
なかなか気合い入った頭に敬意を表した訳で、いい呼び名だと俺は気に入っている。
時々愛を込めてシルバー、と呼んだら凄い目で睨まれる。
人に懐かない猫を万倍で凶悪にした感じでかわいくてしかたがない。
人生はここにきて予想外のスピンを見せて転がり始めている。
黄金よりも手を伸ばしたくなるのは朽ちた白銀。
選ぶなら、安寧よりも新鮮な転落。
Like a rolling stone.
作品名:ライカローリンストーン 作家名:みりん