Over the rainbow
「よくご存知ですね。その物質に関しては、ほぼ分析が完了しました。実はね、有望な新エネルギーが誕生したんです」
「放射能汚染の恐れが全くないそうですね。そんなことを父から聞きましたよ」
「元宇宙研究所所長のあなたのお父さんが、宇宙望遠鏡でその物質を発見したのは、十年も前のことです。実はね、その物質が発生するエネルギーは、副産物として永遠の命をもたらすことが、明らかになりました」
「そうなんですか。凄いわ!」
急に店内があわただしくなった。着物姿の女性従業員たちにより、様々な料理が運び込まれて来たからだ。それぞれ話に夢中だった研究員たちが、笑顔になった。市川がリモコンを操作すると、演奏ロボットたちの奏でる美しい音楽が始まった。数十人のダンサーが登場し、それに合わせてステージで踊り始めた。
その後一時間余り経ち、飲んで盛り上がる研究員たちは、ロボットオーケストラの完璧な演奏をバックに、昔の地球のヒット曲を歌い始めた。暫く経ってから、市川も柚里を連れてステージに上がり、大昔のミュージカルの名曲「トゥナイト」をデュエットした。ステージから下りたとき、柚里は微笑みながら云った。
作品名:Over the rainbow 作家名:マナーモード