ラッシュの電車
週末の仕事帰りの電車の中は遅い時間にもかかわらず混んでいた
私は座れずにつり革につかまって揺れていた
こんなに混んでいるのに感じる視線・・
頭に突き刺さるような、首筋がもぞもぞするというか、ヘンな感じがする
ふと、頭を動かし、それとなく見回した
瞬間絡み合う視線
たまたま首を動かしていたという風を装って、急いで窓の外に視線を戻す
違う、違う!
あれは私を見ていたんじゃない
気のせいに決まっている
なんとか胸の鼓動を押さえようとする
でもちゃんとわかっている
あの視線の先にいたのは私
だってまだ痛いくらいに感じているんだもの
なにげなく少しだけその視線の方へ目を動かした
まとわりつく男の視線を感じた
電車が駅に着いた
まだ私の降りる駅ではなかった
降りる乗客の流れを見ていた
気がつくとその波に乗って、あの男がさっきより近くに来ていた
一瞬どうしようと思った
誰かに助けを求めるか・・・
でもなにもされていないのにそれは出来ない
今の駅で降りて次の電車に乗ればよかったかも知れない
後悔している間にドアが閉まり、電車は走り出してしまった
あと5分・・・
降車駅まであと5分
なんとかこのまま人混みに紛れていれば、ここまで来られない
だけどしつこくまとわりつく視線
ブラウスの中を伝わる冷たい汗
つり革を握る手も、バッグを持っている掌もじっとり汗を掻いている
降車駅に到着のアナウンス!
ブレーキがかかって人混みは揺れた
そしてドアから押し出される私
ちらっと後ろを振り返った
あの男が降りようとしていたが
人の壁によって先に進めないでいた
ふぅ~、よかった
あれは、会社の先輩
先日私に告白した人だ
帰りが同じ方向なので同じ車両の端のドアから乗って降りる駅までに
隣に来て私を掴まえられたら、食事をする約束をしていたのだ
でも、それが叶ったことは、まだない・・・
(*_*)オツカレサマデシタ