不思議な空間
「小三の頃からなぜだか おばあちゃんと暮らしてた
実家の隣だったけど おばあちゃんと暮らしてた
毎日お手伝いをして 五目並べもした
でもトイレ掃除だけ苦手な私に
おばあちゃんがこう言った
トイレには それは それはキレイな
女神様がいるんやで
だから毎日 キレイにしたら 女神様みたいに
べっぴんさんになれるんやで
その日から私はトイレを ピカピカにし始めた
べっぴんさんに絶対なりたくて 毎日磨いてた
買い物に出かけた時には 二人で鴨なんばん食べた
新喜劇録画し損ねた おばあちゃんを
泣いて責めたりもした
トイレには それは それはキレイな
女神様がいるんやで
だから毎日 キレイにしたら 女神様みたいに
べっぴんさんになれるんやで
少し大人になった私は おばあちゃんとぶつかった
家族ともうまくやれなくて 居場所がなくなった
休みの日も家に帰らず 彼氏と遊んだりした
五目並べも鴨なんばんも 二人の間から消えてった
どうしてだろう 人は人を傷付け
大切なものをなくしてく
いつも味方をしてくれてた おばあちゃん残して
ひとりきり 家離れた