戯言の居場所
仰ぐ月に紅を残して
時にまどろみながら 永い夜を渡り歩く
留まることも振り返ることもせずに 人間の流れの中を進んでいく
どこからきて どこへゆくのかと 月に問えど
降り注ぐ光のなかに答えは見つからず
地に流れていく赤に月を映して 踏みにじる
はじけた雫は 闇へと溶けた
奇麗な夜に 一輪の赤い花が咲いて
この場所から どこへゆくのかと 花に聞いた
ふたりならばどこへでも 夜が明けるその瞬間まで
時を数えることも忘れて 終わりを探して夜を歩く
咲き誇ってはまたたく間に消えていく 人間の営みを追い越して
風になびいた その髪を照らす光に 永遠を見る
答えは見つからずとも今のままでもいいと
指先に触れる赤を掌で包みこんで くちづける
零れた言葉は 夜へと消えた
この身の赤と その身の赤と
仰ぐ月に紅を残して