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でんでろ3
でんでろ3
novelistID. 23343
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騙されたのは誰だ?

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「夕食はカニとお寿司の食べ放題ですって? 楽しみね」
「本当だねー」
汗を拭き拭き、太った男が答えた。
「でも、あなたは、ほどほどにね」
女が、ちょっと意地悪く言った。

「なんか、最近、極秘でグルメ雑誌が、この辺の旅館を取材してるらしいですよ」
この旅館に7年居るのに未だに一番下っ端の通称「茶坊主」が言った。
「へぇ、で、どんな奴らだ?」
「なんか、太った男と女の2人組だそうです」
「そうか。一応、気を付けるか。なんせ、ウチは……」

その日、その旅館に1組の男女がやってきた。
「おい、そいつら、まさか、例のグルメ雑誌の取材じゃないだろうな」
「いや、女の方は、別に、太ってませんよ」
「そうか。じゃあ、いつも通りのメニューで行こう」

「はーい、こちら、お夕食となりまーすっ!」
「あれ? カニは1パイだけ?」
「はいっ!」
「えっ? でも、『夕食はカニとお寿司の食べ放題』って」
「はいっ! カニは1パイ。お寿司は食べ放題となっております」
「ひ、ひどいっ!」
「もうっ! じゃあ、お寿司を食べまくってやる」
「はい、どうぞ、どうぞ。ただし、お寿司は、ご覧の通り、かっぱ巻きのみでございます」
「なんだって? ひどすぎるっ! これは、我々の雑誌に書かせてもらおう」
「えぇっ! じゃあ、あなた方は?」
「グルメ雑誌の取材で参りました」
「だって、噂じゃあ、太った男と女の2人組って……」
「そんな噂が広まっているのか」
「まぁ、でも、間違ってはいないわね」
「そうだね。『太った男』と」
「『女』の2人組ですものね」

              (おしまい)
作品名:騙されたのは誰だ? 作家名:でんでろ3