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でんでろ3
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novelistID. 23343
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八百万の神のごく一部

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……若者は、そのみすぼらしい老人に、最後のパンと水を与えました。老人は、ガツガツとそれらを腹におさめると、スックと立ち上がって言いました。
「実は、私は神なのだ。お前に、これを与えよう」

若者は1頭の羊を与えられました。若者は、早速、羊を食べようと思いましたが、目を見ているうちに、かわいそうになって逃がしてあげました。すると、羊はスックと立ち上がって言いました。
「実は、私も、神なのだ」

 それが、合図であったかのように、全てのものが、次々と名乗りを上げました。

「いやー、実は、俺も神なんだよね」
と、路傍の石。

「あら! 私もよ」
と、小鳥が歌えば、
「なんだ? なんだ? おまえもか?」
と、森の木々がざわめく。

「じっつはー、僕も、神だったりしてー!」
「何を隠そう、私も、神でござる!」
「我も、神なり」
「わしだって、神じゃーっ!」

山が、川が、太陽が、風が、森羅万象、ありとあらゆるものが神本来の姿に戻って去って行きました。
後に残されたのは、果てしない無と若者のみ。果たして、彼は、大丈夫なのでしょうか?

「皆さん、うすうす感づいていると思いますが、実は、僕も、神なんです」

そりゃ、よかったね。


                      (おしまい)