習作・磯貝くんの衝撃
【磯貝くんの感謝】
(金曜日・夜)
妹「さっきから、なんでお兄ィは色んな服着て鏡の前をウロウロしとんの? うっとおしい」
母「さてはデートに着ていく服が決まらんのとちがう?」
妹「・・・・」
父「政樹が着るもの気にするなんて初めてやな」
妹「あーもう! そんなだっさい緑のジャージなんか着るヤツおるか!! お兄ィ、もちょっとマシな服ないん?」
父「なんやったらワシのおニューのワイシャツ貸そか」
母「はるやまで買うた葬式用の白いんな。シュッとするよ」
父「そや。ドンキで買うたラメ入り蝶ネクタイも出したり。忘年会のときの」
妹「そんなんつけるわけないやろ!! お兄ィ! その紺のシャツにしとき。もうそれが一番無難や。変にいつもと違うことしてもアカンねん。お兄ィはカッコつけたらカッコ悪くなんねんから!」
母「アヤコはお兄ちゃん思いやわ。普段のままが一番カッコええ言うとるよ」
父「兄妹愛やな」
母「禁断の愛やな」
妹「アホか!!!」
磯貝「・・・・」
作品名:習作・磯貝くんの衝撃 作家名:青天目直