虹の作り方
虹の彼方
† SHAKA -Happy Birthday- †
「よー、邪魔すんぞ?」
「・・・・人の上に降って来ておいて、いきなりの挨拶だな、デスマスク」
モノの見事に馬乗り状態で鼻先数センチの距離まで顔を近づけた、ふてぶてしい最凶人相に向かってシャカは淡々と言い放った。
「ああ?わりぃ〜な。あんまり瞬間移動は得意じゃないんでな。ムウに頼んだら、こうなった。怒りの矛先はムウに向けてくれ」
相変わらず、顔はド迫力満点の位置に定めたまま、離れようとしないデスマスクにシャカは青筋を浮かべた。
「どきたまえ。重いであろうがっ!!」
ドカッと遠慮なく膝蹴りをするとデスマスクは「うぉっ・・・!?」と前屈姿勢になり、シャカの上から転げ落ちる。マルムシかアルマジロといった具合にデスマスクは背を丸め、「ふ・・・ぉぉぉぉぉ〜〜っっ!!!」と声にならぬ悲鳴を上げながら、プルプルと小刻みに震えた。
どうやら急所にクリーンヒットしたらしい。
膝にヤな感触が残っているシャカは不愉快そうに眉根を寄せると、慈悲の欠片もみせずに告げる。
「ふざけた真似をするからだ。反省したまえ」
「・・・・俺を不能にする気かっ、おまえは!?」
涙目になりながらデスマスクは訴えるが、しれっとシャカは「そのほうが世の中、平和であろう。」と言い放ち、立ち上がりかけた。
が、しかし。
「アッタマきた!ドタマにきた!覚悟しろっ!!」
わっし!とシャカを掴んだデスマスクは問答無用とばかりに押さえ込みにかかった。
「デスマ・・・・・!?〜〜〜〜!!!!!!」
・・・・一分経過。
・・・・二分経過。
三分経過・・・・五分経過。
「―――ふん!ネンネのくせに生意気言うんじゃねぇ〜よ・・・さて、と」
ぺろりと舌舐めずりをしながら、ようやくシャカから離れたデスマスクは下で伸びているシャカに勝ち誇った顔をしながら、どっこいしょと米俵のようにシャカを肩に担ぎ上げ、ムウに語りかけた。
「おーい、ムウ。飛ばしてくれ!」
『・・・・承知しましたけど。貴方、とんでもないことをシャカにしていませんでした?』
「気にするな、気にするな。これが一番手っ取り早いんだから。それより、さっさとしろよ。目ぇ覚ましちまうだろうが」
『はいはい。いきますよ?』
言うが早いか、あっという間にムウの元へとデスマスクはシャカを担いだ状態で移動した。相変わらず見事なお手並みである。そうなると、やっぱりさっきのはワザとやりやがったな・・・と内心で気分最悪になりながらも一応礼は言っておく。
「・・・・サンキュ」
「どういたしまして」
にこっ。
その微笑が怪しい限りである。