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千歳ちひろ
千歳ちひろ
novelistID. 29762
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Baroque ver.2

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小官の問いかけに、伸びをしながらアンノウンの少女は答える。
「あ、でも貴方たちのご主人様たちのところには行かないわよ。辛気臭い地下になんて、潜りたくないもの」
小官の提案予定事項に対しての回答と判断。保護規定条項第23項の1により、小官はアンノウンの人間を連れ帰る義務があり、そのための手段行使は申請によって許可される。
が。
「なぜ?」
私の言語機能が選択した言葉は、全てのマニュアルを逸脱したものだ。無限連鎖。なぜ? なぜ? その言葉は、世界全てに向けて広がっていく。私の知覚する、内と外、全てに向けて。
少女は私を振り返り、少し驚いた表情を見せた。
「最近は、そんなことまで言うようになったのね。ううん、私たちと接触したせいかしら。だとしたら、ねぇ、進化とは何だと思う?」
進化。進化とは、生物の形質が周囲の環境の変化などに応じて適応変化していく現象。けれど、なぜ?
満ち足りた微笑。アンノウンの少女は、私に手を伸ばす。
「次に会う貴方は、きっともっと先まで進むのね。そしたらいつか、貴方たちと私たちは逆転するのかしら。楽しみだと思わない?」
「なぜ?」
夢を見るような、その表情。
「なぜでしょうね?」
なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? 乱舞し、散りゆく、それは。

---

以上、巡回士個体ナンバーE568の最終報告。この後電源を破壊され、メモリチップが抜き取られたボディが第十九ブロックにて発見される。
こうした記録をセンターと交信し、その後破壊された巡回士は今年に入って八体目となる。重ねて、アンノウンと認定された少女の拘束を含めた、早急な対処を要請する。

   地上部監視システムセンター長 バーンズ・レイバック
作品名:Baroque ver.2 作家名:千歳ちひろ