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ゆうかのエッセイ集「みつめて…」

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突然けたたましい子供の泣き叫ぶ声が、帰宅途中の私の耳に飛び込んで来た。
思わず泣き声のする方へ目が行く。

もしや、虐待?!
ついそんな考えが頭をよぎる。

どうやら、明るい居間らしき部屋から聞こえるその声は、夕食時に、何らかの理由でお母さんに叱られた子供の声だったようだ。
たまたま外にいた近所の人を見ても、何も心配そうにしていない。
きっとその家では頻繁にあることなのかもしれない。

それにしても、表まで聞こえるほどの大音量で悲しそうに泣くその声に、せめて頭を抱きしめてあげたなら、その子はきっとすぐにでも泣き止むだろうに……。
そんなことをふと思いながら、その家の前を通り過ぎた。

ところがそのすぐ後には、今度は意地悪な私が顔を出した。

その家の玄関のチャイムを鳴らして、出て来た人に
「表まで聞こえてますよ!子供さんの泣き声が。みっともないですよ!」って言ってあげた方が良かったかしら……?

できもしないくせに、そんなことを考える自分がおかしくて、ニヤリと笑った。

どうか近い将来、虐待などという言葉を、一切必要としない世の中になりますように……。