ゆうかのエッセイ集「みつめて…」
仕事帰りにいつも、小さな公園のそばを通って駅まで歩くのだけど、ここの所、何度も続けて目にする光景がある。
最初にそれに気付いたのは、歩いている私の耳に、突如聞こえてきた大きな声だった。
喧嘩でもしてるのかしら?と思うような語気の荒い声で、1人、2人ではないようだった。
思わずキョロキョロと周囲を見回した。
声はすれど姿が見えない。
おかしいなぁと思いながらも、尚も声のする方をじっと見ると、どうやら私のいる場所からは木々の陰になって見えなかったが、その公園の中から聞こえているようだった。
周囲の道を公園に添って少し歩くと、公園の入り口の前に出る。
私はそっと首を伸ばして中の様子を伺った。
結構年のいってるおじさんが5人くらい集まって、何やら議論している模様。
足元にはそれぞれの荷物が転がり、手にはどうやら缶ビールを持っているみたいだ。
あぁーなんだ、酔っ払いの集団か…。
その時は、ただそう思って通り過ぎた。
2度目に見かけた時も、仲間同士でどこかへ出掛け、その帰りにちょっと公園に寄って一杯、たぶんそんなとこなんだろうと、勝手にそう思ったりした。
ところが、どうやら違うみたいだと思いだしたのは、ほぼ毎日のようにその光景が繰り広げられているからなのだ。
時間は午後の7時過ぎ。
普通なら、そんな時間にわざわざ公園に集まって討論会などする筈はない。
ましてお酒を飲んで話をするなら、誰かの家に集まってすればいいことだ。
外はいい加減暗くなっているし……まあ、公園の中には電灯が点いているから、そんなに暗くはないのだけど……。
わざわざ公園に集まるなんて、どう考えてもおかしいだろう。
そう思い出すと、その光景が奇妙な光景に見えてきた。
相変わらず今日も、公園に5、6人集まった男性がやはり大きな声で何か話している。
足元には、みんな揃えたようにリュックが転がっていた。
まさか、みんな揃ってホームレス?
まさかなぁ〜。いくらなんでも……。(; ̄ー ̄)...ン?
そう言えば井戸端会議という言葉がある。
昔から、女性が井戸端に集まっての長話を例えて言ってるのだと思うが、実際私も経験あるところでは、幼稚園バスを送ったあとの時間に、バス停の所でいつまでも飽きずにおしゃべりしている奥さんがいたりした。
私はそういうのは、はっきり言って嫌いだ。
どうせおしゃべりするなら、午前中の家事を一通り済ませて、その後誰かの家に集まってお茶を飲み、お菓子でもつまみながら喋れば良いんだ。
バス停に一体何時間立ってるいるの? そう聞きたくなる。
最近は井戸端会議が女性のみならず、男性の間でも流行っているのかしら?
それも公園で……。うーーん、謎だ。
ホームレスでなければ、もしかして、おうちでお酒を飲ませてもらえない旦那さんたちの集まりか…?
うーん、やっぱり違う気がする。
色々考えてみるが、ぴったりくるような答えが見つからない。
うーん、つくづくと奇妙な光景だ!!
「そこの皆さーん、ちゃーーんと家に帰ってゆっくり座って飲んだらー?」
今度そう言ってみようか。いや、きっと出来ないな。
こう見えて私って意外と小心者だから。(笑)
作品名:ゆうかのエッセイ集「みつめて…」 作家名:ゆうか♪