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ゆうかのエッセイ集「みつめて…」

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朝のジョギングの途中で、防波堤の一部の階段に腰掛けて海を眺めた。

遠く水平線の切れ目に黒い大きな船が浮かんでいる。
タンカーだろうか…。

その遥か遠くには、うっすら霞んで房総半島の山波が…。
晴れていればもっとくっきり見えるんだけど、今朝の空は曇っている。

ふと視線を足元に落とすと、砂の上にいくつもの、そして幾重にも誰かの足跡が…。

浜辺をひとり寂しく、物思いに沈みながら辿ったのか…。
家族で楽しくフリスビーを投げ合い、追いかけてつけたのか…。
恋人と将来の夢を語り合いながら、 胸ふくらませて歩いた跡なのか…。

それは、もしかしたら、ただの砂の波紋かもしれないが…。

ふと、昔行った鳥取砂丘を思い出した。
どこまでも続く砂丘は雄大だけど、そこには同時に果てしない孤独を秘めている。

エジプトの砂丘も同じだろう…。
そこに1本の樹があるだけで、どれだけ心が潤うことだろう…。

足元に広がる足跡には、確かな人々の生が、そして生活が感じられて、私はバカみたいに嬉しくなった。

生きているのは私だけじゃない。
辛いのも私ひとりじゃないんだと…。

さぁもう少し走って(歩いて)うちへ帰ろう。