詩集「負の領域」
深く深く 終焉のない深みへと
我が肉体 我が心
そして我が魂さえも
すべてのものを飲み込んで
地球の核へと沈んでゆく
目の前の激しいうねりを
なんら静める術もなく
大きなうねり 小さなうねり
途絶えることなく 果てしなく
時に リズムを変えて襲いくる
ブクブク ブクブクと
誰にも届かぬ 声なき叫びは
色なきシャボン玉
泡沫となりて費〔つい〕える
一条の光すら差し入らぬ
暗い闇の世界へと
螺旋の影となり沈みつも
その傍らにありながら
微かに明日を憂える
砂粒ほどの ちっぽけな
未来に馳せる想いなど
霧散するかのごとく
醒めた星屑に混じりて
遥か闇空までも溶けゆく
地の利に逆らい落ちゆきて
また新たな穴へと身を呈す
大きなうねりに沈められ
―― うねりの底に横たわり
静かにひとり 空を見上げる――
H22.12.10